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【アサツグトリ】クリアした感想とキャラ別の評価を綴る(ネタバレ注意)

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【2021年11月29日 攻略などについて 追記・更新】

2021年11月25日に発売したPS4/Nintendo Switch向けソフト『アサツグトリ』をクリアした感想・評価になります。各キャラ評価の部分だけは超ネタバレしているので、その点は注意です。

 

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アサツグトリとは

あなたが夜明けを待つのなら、それを告げるのがわたしの願い 

nippon1.jp

ジャンル:タイムループ探索アドベンチャー

プレイ人数:一人

CERO:C

 

ゲームの流れ

①「アサツグトリ」は事件を未然に防ぐタイムループ探索アドベンチャー。少女らの不可解な共同生活の中、事件が発生します。

②ヒバリの持つ時間遡行能力を用いて、事件発生前へと戻り、事件を回避するための調査が始まります。

③周囲を調査し、情報や証拠を集めましょう。事件発生前なので、被害者から話を聞くこともできます。

④探索パートで集めた情報をもとに推理を行い、事件の発生を回避しましょう。

 

評価・感想

ストーリーは没入感あり

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静かに音を立てる機械―右腕には点滴風の装置―

ヒバリが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋、そして同じ境遇の7人の少女と出会う。戸惑う少女たちの頭上からアナウンスが響く。
「建物から出られるのは、最後まで生き残った1人だけとなります」
「1秒でも長く生き延びられるよう、努力することをオススメします。頑張れば、魔法だって使えるようになるかもしれませんよ」

少女らの不可解な共同生活が始まってから数日、ついに事件が起きてしまう。目の前で起きた死の光景を止められなかったことを悔やむヒバリ。
「あの子が死ぬ前に戻れたら……」

翌日、目を覚ましたヒバリが食堂へ向かうと、死んだはずの少女が昨日と変わらず過ごしていた

―時間遡行能力

この力があれば何度でもやり直せる。絶対にもう誰も死なせない。

プレーヤーは、主人公ヒバリを操作することでゲームを進めてきます。

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主人公ヒバリを含む8人の少女は、見知らぬ建物で軟禁されており、ヒバリがベッド上で目を覚ますところからゲームは始まります。建物内では食事が毎日朝昼晩と用意され、寝食には問題ない環境が整えられています。各々が戸惑う中、一人ずつ自己紹介をしていると、そこに謎のアナウンスが、、、

「建物から出られるのは、最後まで生き残った1人だけとなります」
「1秒でも長く生き延びられるよう、努力することをオススメします。頑張れば、魔法だって使えるようになるかもしれませんよ」

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アナウンスは一体誰がしたものなのか……

右腕に点滴をつけられている事実、外に出られない現実、そしてこのアナウンスの影響により、全員が疑心暗鬼に……。和やかだったムードは一変。信じられるのは自分だけ、というギスギスした状態になります。

 

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その後数日は、一人で建物内を探索をするも、調査できる範囲は限られており、特に何も見つからず……そんな中、ヒバリの目の前で人が死んでしまいます。その事件を機に、自分が時間を巻き戻せる能力(時間遡行)を使えることを知ります。

起きてしまった殺人事件を未遂で終わらせるために時間遡行する→誰も殺させはしない!→殺人事件を防ぐ→最終的には、8人全員で生存して脱出しよう! というのがこの作品のストーリーであり、主な流れです。

また、その過程で、少女8人を誘拐した犯人の動機、8人各々の関係の変化、殺人事件が何度も起こる背景、探索可能なエリアの開放なども付随してくる感じ。

ストーリーと伏線の散りばめ&回収はとても良く出来ていて、没入感のある良作と言える内容でした。

 

キャラ一人ひとりの設定が細かく、伏線回収が楽しい

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主人公ヒバリが時間遡行能力を得たように、実は少女全員にも能力(ゲーム内ではSPIと言われている)が使えるようになる・使うようなイベントが発生します。ただ、自らの能力を明かすことは弱点を晒すことでもあり、生き残りを前提とした生活の中では危険でしかありません。

ヒバリは、「全員で生きて脱出するんだ!」と目的を据えていますが、他のメンバーが最初からそうであるとは限りません。

このゲームで面白いところは、能力を通してキャラの成長・捉え方の変化などがしっかりと描かれている部分。たとえば、裏切られた経験があるから人に意見を言えなくなる人もいれば、自分の意見を言うようになった人もいる……一人ひとりにコミュニケーション哲学と言えるような考え方があり、その部分を事件を通して描いているので、共感しやすい描写も多いんです。

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例えば、トウカ。こういった発言に、プレーヤーが共感できる要素は多いはず。しかし、反感を買うこともあるわけで……

能力を明かすこと=ヒバリへの信頼 と言い換えることも出来るので、信頼ナシの状態から人を信頼していく過程が上手にストーリーに落とし込まれているのも、この作品の魅力だと僕は考えています。最初は誰が誰だかわからない8人ですが、2章に入る頃には全員覚えていました。

 

探索というより、フラグ探し。これが大変。

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このゲームの3~4割を占める探索パート。序盤は、主人公ヒバリは寮の中を隅々まで探索することになります。具体的には、

事件が起こる

→時間遡行で事件前に戻る

→事件になる原因を探索で突き止めて未然に防ぐ

→そのためには、殺された人への印象などをみんなに聞いて回る……といった感じ。

この、事件になる原因を探索で突き止める というのが非常に大変で。序盤~中盤は、特定の部屋にいる少女に話を聞くだけで基本的にストーリーが進みますが、中盤以降は、部屋に置いてある物、もしくは時間経過することでストーリーが進んだりします。

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なので、建物内の少女を探し回る→少女を見つけて話してもストーリーが進まない→なんでや! 何をどうすれば良いかわからんやん! と思ったら、時間経過することがストーリー進行のフラグだった……マジか……みたいなことに。

これの何が問題かと言うと、何がストーリー進行のフラグになるのかをプレーやーが見極めねばらない、しかし、そのためのヒントなどが皆無ということ。

このゲームは、グラフィックレベルが極めて低いですし、MAPもわかりやすいとは言えず、ヒバリは走りません。それでも、ストーリーとキャラの良さで全然プレイ出来ます。が、このフラグだけは、最も不親切な部分として個人的には強調したい。進行フラグのヒントさえあればもっと高評価を得ただろうに……

 

BGMや効果音は記憶に残る

ドアを開ける「プシュー」

探索の佳境に入ると流れる「Ivy Stroll:activacion」は、個人的にこの作品を象徴するBGMかな。

サントラも個人的に良い曲が多い印象でした。ちなみに、クリア後に聞くことが出来るようになります。

 

推理は、主人公と一緒にするイメージ

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推理するヒバリ

事件の原因となるアイテム(情報など)を集めれば、推理パートになります。ただ、プレーヤーが推理するというよりは、ヒバリの行動・少女全員の言動・時間遡行を繰り返す中で得たヒントなどを集める過程で、プレーヤーも真相を理解していくような感じでしょうか。画像↑↑のように、推理というよりは、探索で入手した情報を照らし合わせて答え合わせをすると言った方がしっくり来ますね。

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手元にあるアイテムからを使うこともありますが、使う場面は自動的に導かれるような感じなので、そこまで難しくもありません。

 

分岐ルートについて

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バッドエンドの例

分岐はあるっちゃありますが、基本的にはバッドエンドでゲームオーバーになるだけですね。ヒバリが全員を抹殺するルートとかはないですし、一人だけ助かろうとする展開もなし。なので、ヒバリの全員で生きて脱出する! という意志に従うことになります。

 

百合要素は……

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百合について語れるほど理解があるわけではないですが、『じんるいのみなさまへ』『夜、灯す』などのように、明らかに寄せにいってる感じはありませんでした。特殊な共同生活の経験から生まれる信頼関係は描かれています。

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Switch版は止めておいた方が良い

Switch版だけは、妙なフリーズが発生します。他の機種にはないようです。

 

ダメな部分を挙げてみる

  • やはりフラグの管理。建物全体の調査はヒントなしではキツイ。フラグが全くわからず建物内を時間いっぱいまで走り回っていた時は、大奥記のRTAを思い出していた。見つけられないと、一日をまたやり直すハメになる。
  • けど攻略サイトを見ると楽しみが大きく欠ける。
  • ボイスなし。好みは分かれると思うが、このくらいキャラ設定が細ければ必要ない気もする
  • Switch版では、序盤から妙な硬直があって怖い。ロードをしているとも思えず、推測される原因がわからない。バグらしいバグはなかった。
  • マチネの能力だけは具体性に欠く気もするけど、、、トリガイの目的とも一致しないか。
  • 最後の描写はもうちょっと強化して欲しかった。キャラがしっかり描けていただけに。

 

 

各キャラ評価(超ネタバレ注意)

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各キャラの能力・印象に残った部分などを綴っています。ガッツリネタバレしているので、クリア後に閲覧推奨です。

 

 

 

エノ……SPIは、残留思念を読み取ること。口癖が~っす。自分をよく知っていて、他人との距離の置き方・接し方が一定。掴みどころがない。現実の友達と口癖も性格もほぼ同じだったのですぐ覚えた。クリアして思うのは、最も有能であること。素数を覚える遊びも役に立ち、最後はハッキングをやらされるなど、エノ任せが酷い。僕がトノガイの立場だったらヒバリより気に入ってる。

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ヒバリ……SPIは、時間遡行。誰も死なせたくない! という主人公っぽい正義感あり。一言一言に配慮があり、全員を慮っている。空気が読める上に心根がやさしいのも◎。信じると疑うの思考バランスが良い。信じたい、という言葉も多かった印象。キリッとした表情でこちらもやる気が出る。

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トウカ……SPIは、ちょっと物を動かす。人は人、自分は自分と完全に割り切っている。他者に押し付けられるのが大嫌い。言い方がキツくて反省することはあれど、間違ったことは言ってないと前を向く。自立と孤立が同居しており、個人的には一番共感するキャラ。トウカが殺されたことでこのゲームに熱が入った。しかし、その後の進行フラグ探しに困った記憶。終盤は役割が弱かったか。また、コマリごときにやられるか? と思ったがアートでは想像よりも遥かに身長が小さかった(右から二番目)。

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コマリ……SPIは、他人の感情の読み取り。おせっかいで世話焼きと思われるが、まとめることで承認欲求を得るしか役がないのでやってる感じ。他己評価が重要。個人的には一番嫌いで、自分がない最たるタイプだと考える。トウカ殺しの犯人だとすぐに予測出来たが、フラグ探しに苦労した。のんのんびよりのこまりのおかげで、すぐ覚えた。

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フヅキ……SPIは、ドッペルゲンガー。ザ・陰キャで、消極的で溜め込む。最初の事件を起こす人間の精神状態として最適なキャラか。

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カリン……SPIは、物質を変化させる。裁縫に没頭。裁縫の作品の絵が一切ないのは悲しい。

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マチネ……SPIは、強運。案の定、主人公に最初に近づいてきたからには大きな理由があった。選びたい↓↓と思わせたんやろうな、という直感が当たっていたのでちょっとうれしい。

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スズ……SPIは、誤認。フヅキに殺害未遂→そのままご都合展開に流されるのかな? と思っていたところに現実的な発言をしてくれて、ゲーム内の倫理観を理解させてくれたキャラ。容姿がかわいいという設定だが、よくわからない。ここから嫌味や皮肉が多くなるのも◎。

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トノガイ……良いキャラの割に描写不足。関心が実験のみに集中しており、欠落しているものも多い。超能力発現のためのモルモットと断言する辺り一貫性があるマッド・サイエンティスト。解放→HUNTER×HUNTERゲンスルーと全く同じ。こうなったら、貴様の力を借りるぞ!→こういう展開好き。貴様という言い方も好き。もっと描いてほしかったキャラ。

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逆算して作られたストーリー構成が個人的には大好き

クリアまでいけばわかりますが、全員が能力を使う場面を描いていますよね。これは、誰一人として不必要なキャラはいない、ということ。それを描きたかったという意志も伝わります。また、最後をしっかりと決めていたから、逆算してストーリーとキャラを作った、とも言えます。

個人的には、このラストを描きたかったからこのキャラが生まれた、という構成が大好きで。小説ではよく使われている構成ですが、、、具体例となると、、、喧嘩稼業の石橋強が十兵衛に高山をされるところなんかですね(他に良い例が思いつかず申し訳ない)。石橋の母と同じ倒れ方を重ねるところなどに、構成の美しさを感じる部分でもあります。

今作では、構成に無駄がなく、キャラに愛があったと個人的には感じております。

 

謎が残った部分

  • タイトルの由来
  • 具体的にどうやって誘拐されたのか、なぜこのメンバーが誘拐されたのか。その詳細はたぶん描かれてない。

 

クリア後・クリア時間

アーカイブが開放され、サントラとアート鑑賞が可能になります。トノガイのその後とか、トノガイの設定公開とかあれば良かったんですけどね。

クリア時間は、12時間39分でした。

 

攻略について

時間経過をする手段は→たぶんない。

どうしてもわからない場合や何回もやり直しになる場合は、攻略サイトを見たほうが良い。でも、フラグを辿るだけになるとやり甲斐が一気になくなるので、あっけないかもしれない。そういった意味でも難しいゲーム。

アサツグトリ 攻略Wiki : ヘイグ攻略まとめWiki

 

まとめ

構成に無駄がなく、ストーリーに没入感があり、キャラにも愛があった良作だと個人的には感じています。ただ、ゲームとして難があるのも確か。特に、探索パートは、ノーヒントでフラグを集めるのは骨が折れます。犯人がわかってるのにフラグになる場所・時間・物が分からなかったは辛かったです。時間経過する手段もないのは……。

また、グラフィックはアレですし、ノベルがベースなのにキャラクターボイスもないです。が、デメリットを帳消しにするくらいストーリーとキャラが魅力的でした(もうちょっと描いてほしかった部分もありますが)。

時間遡行という点から『ライフイズストレンジ』をイメージしていましたが、ゲーム内容が最も似ているのは『グノーシア』です。なので、『グノーシア』が好きな人には面白いと思える部分がある作品かもしれません。

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