ミラコスタで夜更かししたら感銘を受けた話(長文・写真44枚)

No-Adディズニー感動・感銘旅と写真日常エッセイ

引用:【公式】東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ

【2024年2月5日 追記・更新】

 眠れない夜に、部屋の窓から月を眺めて物思いに耽る……。誰もが人生で一度は経験したことがあると思う。「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」で過ごした時間(特に深夜)についてあれこれ語りたい。★備忘録も含みます。長文です。

 

 福岡空港に向かう前に、パンストック天神店へ。東京でお世話になっている方々に渡すお土産のパンを購入した。一日目はご挨拶に奔走して、6人の方に会っていただいた(本当にありがとうございました)。

 

 一泊した後、JR舞浜駅→リゾートラインに乗って、ミラコスタ宿泊客専用の通路へ。初めてのミラコスタだったので、「ふえ~」と驚きっぱなしだった。建築物としての豪華さも然ることながら、日本国内では見ることのない光景で構成されており、、、一切のスキがない構成された世界観が確かにあった。

 

 ひとまずフロントで荷物を預けてシーを周ったわけだが、どこに行って何をしたのかはあまり覚えていない。

 

 彼女に連れられるがまま付き合った後、15時にチェックイン。火山が中央に見えるアメフロ側のハーバービューの部屋に案内してもらった。部屋から見える景色を見て、キャンセル拾いに死力を尽くした甲斐があった……。。。と一分ほど浸っていた。

 案内をしてくれたお姉さんから、ミラコスタに対する自信と愛を感じたことが印象に残っている。カーペットや部屋にあるミッキー云々、記念写真を撮ってもらったり……。毎日のように繰り返している説明だろうが、面倒くささや定形的な素振りは一切感じられず。特別な一日をご案内することに喜びを感じている、と、こちらにも伝わるようなコミュニケーションが確かにあった。

 

 ――学生時代、ディズニー関係のアルバイトをしていた経験がある。具体的には、アルバイト希望者を面接会場に案内をする仕事だったが、、、それはもう良い加減&超機械的にやっていた(社長に謝罪したい)。案内をする、という仕事が一番ラクだと考えた末に応募したバイトでしかなかったが、人と接することは楽しかった。

「イクスピアリって何ですか?」と聞いて、休憩室にいた全員から驚かれたことは忘れられない。ランドとシーの区別もつかないほどディズニーに無関心な僕だったけど、実際に園内で働いている方(採用側)とのやり取りも楽しかった。

 閑話休題。バイトの希望者がそれはもうスゴイのだ。素直さが滲み出ており、一貫して実直な人間性を感じていた(僕みたいな邪な気持ちしかない輩とは全く違う、という意味で)。なので、素晴らしい人材がオリエンタルランドに流れていくなあ……薄給でもやりたいことがあるんやなあ……、と感じていた当時の心境を思い出したのだ。

 ちなみに、オリエンタルランドに就職した知人もいる。話は聞いたことがないが、就職できなかった僕とは違い、面接を受けた全ての企業に内定をもらっていたはずだ。

 オリエンタルランドに素晴らしい人材が流れていく……という考えは、10年経っても変わっていない、と自分の中で正当化された出来事だった。

 

 ミラコスタに泊まる上で、実は楽しみにしていることがあった。それは、備え付けや家具、備品である。要は、企業としてのミラコスタの取引先だ。採用基準は察するしかないが、宿泊価格を考えるとそれなりの高品質であることは間違いない。

 一例を挙げると、トイレ。TOTOなのか、INAXなのか、Panasonicなのか……みたいな。消耗品にどの程度の金額をかけているのか、、、

 ホテル業は本当に多岐に渡るので、個性の極地とも言えるミラコスタの試みを知りたかったのだ。旅行好きの方は、結構僕と同じ趣味の人は多いんじゃないかな。

 

 チェックイン後、再度シーに戻った。彼女に予定を丸投げしていたので、キツかったこと以外はあまり覚えていない。人気のアトラクションにある程度乗ったはずだが、パッと思い出せるのは行列に50分並んだニモだけ。

今までありがとう

 唯一嬉しかったのは、ファストパスではなく、行列を金でスルー出来るシステムが誕生していたこと。行列代行業者を連れ込みたい、もしくはファストパスを転売してほしいと常々思っていたので、このサービスは控えめに言っても素晴らしいと感じている。

 

 へとへとになってホテルに戻り、夕食を済まし、部屋に戻って念願のショーを見たわけだが、、、彼女の食い入るような姿を同時に見て、観覧席として払ったお金+キャンセル拾いに費やした時間はペイされたと思えた。

 

 ライブやコンサートだけでなく、新幹線も隣の席の人が気になる僕としては、ほぼ真正面で、エリアを一望出来る部屋で本当に良かった。

「ラウンジに座ってショーを見たけど、特別感があった」というお話を、僕と同じくディズニーに関心がなさそうなブログの担当さんから聞いていたので、なるほどなあ……と。

 

 ショーの内容はよくわからなかったが、火山にも映るイルミネーションや火の演出、水上でデカイ乗り物がぐるぐる周っていた。二条城や御船山楽園のプロジェクトマッピングが思い出されるが、あれだけの光と音量で表現している既存のショーを僕は知らない。

 「信じ続けて あきらめないで 夢は叶う」

 みたいな抽象的なことをミッキーがずーっと言っていて、いよいよ宗教臭が極まってきたな~まあ、宗教団体の本部に泊まっとんやけどね てへっ とボケたら

「そういうショーだから」

 と彼女に冷たく制されて悲しかった。

 普段ならば、その言い方とか考え方をするあんたの方が宗教臭がするわ! みたいなツッコミもなく……。調べてみると、【ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~】というタイトルで、映画の一部を流していたとのこと(全く知らんかった)。

 大人しく僕もショーを見ましたよ。

 

 火に関しては美しい円を描いているコレ↑↑が気になった。ガソリンを丁寧に撒いているのか、ガス管でも設置しているのか……技術的にもそうだし、どこの企業が提供したのだろう……ずっと気になっていた、

 ショーに出演している人だって、あれだけ全身全霊で表現していたのだから、怪我や負傷もあるだろう。乗り物から落ちて、水に落ちたりしないだろうか。今日は踊りたくねえ~という気持ちが体に表れている人はいなかった。

 ショーを間近で見るためだけに、開演後に入場して真っ先に席取りをしてその場に待ち続ける人もいるわけで、、、でも、この時間だけは夢中になれているのだろう。共感はできないが、理解は出来る部分があった。

 

 

 本題はここからである。

 僕はいわゆる、深夜型の生活をしている。文章で生活するようになって、2~3時にならなければ眠れなくなった。これはミラコスタでも同じ。彼女は朝方なのですでに寝ていた。

 あれだけの爆音と爆光のショーの数時間後、本当に静かな夜があった。大学入学時に上京して驚いたことの一つに、ヤンキーや暴走族がいないことを思い出していた。もちろん、そのような音はしない(ミラコスタは千葉県だが)。

 

 天気が抜群に良く、部屋からはスカイツリー↑↑もハッキリ見える。そして、ミラコスタの街並みと火山の上に位置する月の移ろう姿が、水面に反射して、非常に美しい。少しずつ、少しずつ。ゆっくりと水面に映る月が移動していた。

 素晴らしい夜を過ごしている実感があった。旅行に来たわけだし、その瞬間を楽しむ・黄昏れて良いのではないか、と。アトラクションもショーも僕自身はそこまで楽しめていなかったので、この時間だけは浸っても良いよね、と。

 

 しかし、静寂に似つかわしくない妙な音が聞こえてきた。一体何事? と思って外を眺めると、清掃員の方が高圧洗浄機を使う姿が目に入ってきたのだ。

 今考えると当たり前なのだが、あれだけの大群が毎日押し寄せる場所である。それは相当なメンテナンスが必要に違いない。でも、単なる推測がいざ視界に入ったことで、一気に興味を持っていかれた。その一端を僕は目にしたわけだ。

開けた窓から聞こえる高圧洗浄機の音が心地よい夜

 同じ箇所を何度も清掃する姿を見入ってしまった理由はいくつかある。高圧洗浄機で地面に噴射する音って、ものすごく心地が良い。なぜかずっと聞いていられる。汚れがあるようには感じられないが、何度も何度も念入りにする姿に職人のそれを感じたと綴っておく。

 実際、嘔吐や血、動物の死骸などの処理をすることがある、とディズニーの関連書籍で読んだことがある。また、僕自身、ランド内で漏らしそうになったことがある。新しいホテルを建設する以前に、仮眠室やトイレの増設をしてくれよ と未だに思っている(クラウドファウンディングで募集があったら喜んで払いたい)。

 自分ではない大切な誰かのためにディズニーに行かねばならない人生を歩む人ならば、きっと分かってもらえると信じている。

 

 さらに、シーの中を車が移動する光景を見て、ますますテンションが上がった。車種も意外だったし、通るルートも面白い。車のライトさえ幻想的に見えた。

 

 ミラコスタのどの部屋からも見えないエリアもあるし、基本的には誰にも見られることがない仕事だろう。もしかしたら、誰かに言ったらダメな部類の仕事かもしれない。

 世界はそうやって回っている……なんて他者の僕が言う資格はないけれど、実際に目にすると頭が下がる思いである。

 

 寝静まった園内で、彼らの仕事は始まる――という事実を目の当たりにして、生まれて初めてディズニーで好奇心の充足を感じていた。テラスがある部屋だったら(寒いので)、見ようとも思わなかったはずだ。部屋から見えた光景は他にもあったが、他は心に閉まっておく。余談だが、水上にガソリンを撒いている人は見かけなかったので、たぶんガスだろう。

 

 たぶん3時くらいに寝て、開園前に起きた。開演時間になると、人がなだれ込むように入ってくる。ディズニーが好きではない僕としては恐怖心があるものの、喧騒が聞こえてくることで安堵感もあったのは自分でも意外だった。

 最初に入った人は、一瞬だが独り占めしたような気分になれるだろう。気持ちが良いはずだ(新幹線を降りたら、降車客の中で一番に階段を降りたい僕には分かる)。

 ショーを見るために場所取りをする人が、清掃していた場所に次々と座っていく。あなたが座った場所は、深夜に掃除した場所なんだよ、と僕が清掃していたら言いたくなるだろう。しかし、そんなことを言う清掃員の方はいない(と思われる。帰宅してるだろうし)。自分の仕事を決して公にする事もなく、淡々と毎日仕事をしているはずだ。ゲストと関わることもないだろうし、全て推測ではあるが、僕はこの記事で証言したいことはこの部分なのだ。

 素晴らしい仕事をされている、と。そして、僕は忘れません、と。

 

 朝食を終えた時間に、レストランのキャストの方に話を聞いたのだが、ミラコスタの中でも関わり合いにならない人がいるそうだ。単純に仕事の内容もそうだが、働く時間帯があるので相見えることはない。当然っちゃ当然だが、24時間休むことなく、多くの人に支えられて、この記事を描いている今もミラコスタは維持されている、ということを再確認した。

 単なる知識が、現場の人と接することで浸透していく……だから、僕は人に話を聞くのが好きなんだよな、と改めて思ったのだ。

 ここ数年はブログの中の人でしかなかったが、実は2023年から少しずつ、名刺を渡すなどして、人と直接接するようになってきている。

 

 ミラコスタに宿泊することが、自分へのご褒美という方が、この記事を見てくださっている方の中にもいると思う。実際に泊まってみて、人と接して、人を見たことで、また来たいな と大半の人が思える場所なのだと推測出来る。

 ミラコスタは、良い仕事人に囲まれている。滞在したのは一泊だけだが、自信を持って断言出来る。間違いない。

 僕自身、好きなことを仕事にしている……とは言えるかわからないが、少なくとも嫌なことはやっていない。睡眠も仕事の裁量も自由だ。だからこそ、働く人から誇りや好きを感じる方が嬉しいのだ。

最初に見た印象とは異なるホテル。それもまたミラコスタなのだろう。

 

 数日経つと、あの時の5万円は高かったな……もう泊まらんで良いかな……と実は思っていたが、、、笑、数ヶ月経って振り返ると、良い思い出にはなったことは認めざるを得ない。

 ディズニーに興味が湧いたわけでもないが、そこで働く人に関心を持ったことは間違いない。誤解を恐れずに言えば、かっこいいのだ。彼女が夜勤をしているから、深夜勤務の大変さが伝わる部分もある。自分には出来ないからこそ、余計にそう思う。

 

 月を眺めていたら、人に夢中になっていた。そこに想いを馳せていた。好奇心も満たされていた。

 

 僕の人生における、忘れられない光景の一つになった。ただ、忘れられない光景って、個人的にはもう一度見ようとは思わない。そのタイミングでしか得られない心境や視点だからこそ、景色も特別なものになった、と考えているから。

 それでも、ミラコスタに泊まることがある日がまた来るならば、また感じたことを綴りたい。

 

おしまい

 

この記事の著者
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大卒後、就職に失敗→薬学生の彼女のヒモを経てブロガーに(15年の交際を経て結婚!)。エンタメ分野のレビュー、感謝を綴ったエッセイが好評。当時の内容を綴ったノンフィクション小説「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」が電子書籍化しました!

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