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【ジルー】フランス代表最多ゴール記録までの歩みを語りたい(長文)

Olivier Giroud Image credit: Getty Images

【2022年11月27日 デンマーク戦の感想など 追記・更新】

ACミラン所属・フランス代表のオリヴィエ・ジルー選手について、アーセナル時代からチェルシーACミラン、そしてフランス代表での印象をプレーと共に綴っています。サッカーファン向けの内容になっており、長文注意です。

 

 

アーセナル


 本当にフランスリーグで得点王を獲得したFWか……? これがジルーを初めて見た時の印象だったことを覚えている。

 ゴールを決めるいわゆる決定力がなく、シュートも特別上手くない。何より動きが遅く、縦に飛べても横の俊敏性がない。なので、ボールをもらう位置が悪いとプレーの選択肢がないし、ドリブルでそれを創出することも出来ない。自力でゴールまで完結させる能力がなく、味方のフォローが常に必要なFWというのが個人的な評価だった。

 だが、守備をサボらない姿勢、アクロバティックなボレーシュート、そして代名詞となるポストプレーは上手かった。192センチの恵まれたフィジカルを存分に使っていたし、背中でスペースを感じ取れて、そこにボールを置けるような繊細さは当時から光っていた。それは加入翌年にラムジーがキャリアハイのシーズン16点を記録したこともあるし、ウィルシャーのベストゴール(2:59~)↓↓にも象徴される。

ラムジーへのアシストは(2:43~)↑↑が印象深いが、ここでも打たんのか……と思ったり。

 チームに貢献はしているが、アーセナルというチームの中での序列は決して高くなかった。味方がレッドカードを貰った時に真っ先に交代させられたり(ジョエル・キャンベルじゃないんやな……と思った記憶あり)、決定機を外しまくって交代させられたり……。

 

 ターゲットマンとして味方を活かすプレーを続けていくのかと思っていたが、エジルアレクシス・サンチェスが加入する頃には、明確にプレースタイルが変わっていた(ヒゲを生やしたタイミングと重なる)。味方を活かすような動きが減り、流れの中でのボールタッチも少なくなった。DFラインと重なるようなポジションを取り続け、自分でシュートを打つことを選択の最優先に無理やり定めたように見えたことを覚えている。

 この頃のアーセナルは、監督のヴェンゲルがエジルを中心に添えようとして失敗(モンレアルのインタビュー↓↓で納得した)、チームとして成立しているとは言い難い試合も多かった。怪我人が続出するのは風物詩であり、前半はグダグダ・後半は各々の個人技でなんとか点を取る、みたいな試合も多く、イライラしたグーナーの方も多いハズだ。

「エジルは全員と問題を抱えていた」元アーセナル同僚が明かす…トルコでもチームから除外 | Goal.com 日本

 エジルがボールを持っても出し所がサンチェスしかなく、激しいタックルで潰されてイラついていた原因の7~8割はジルーのせいだと思う笑。ただ、そのグダグダの中で点を取っていたのもジルーであり、どうしても期待せざるを得なかった構造的問題を思い出す。

 

 他にも、リーグ戦よりもカップ戦(FAカップコミュニティシールドなど)など要所では点を決める一方で、リーグ優勝に導けるようなシーズン20ゴール~を決めるようなFWでない評価も確立。それは「ジルーでは(リーグを)勝てない」とフランス代表の先輩のティエリ・アンリに言われたことに象徴される。個人的にも共感しかなかったが、チーム事情を考えるとジルーを使うしかないよなあ。。。みたいなジレンマがあったと思う。

 

 監督のヴェンゲルは、辛抱強く起用したと考えている。が、結局は心の何処かでアンリの再来のようなFWを求めていた……のだと思える。それは、ウォルコットやサンチェスをワントップ起用したり、後のラカゼットやオーバメヤンの獲得にもつながる。そして、ジルーは冬にチェルシーへ移籍することになる。

 

 ちなみに、僕が最も印象に残っているプレーは、リバプール戦のターンからのゴール(後述)。こんなすげえシュート打てるならもっとしてくれよ、と。他には、CLベスト16のバイエルン戦など。大一番だったり、強敵相手だとな~んかゴールを決めるよなあ……と思ってしまうのも、この時からだった。ちなみに、スコーピオンのゴールではない。

いや、こんなシュートがあるならもっと強引に打ってくれよ、と思ったシュート(8:24~)その2。余談だが、選手時代のアルテタを見ていたので、今シーズンのアーセナルは感慨深いものがある。

 

チェルシー


 ジルーに惹かれていることに気付いたのは、チェルシーに移籍して以降になる。アーセナルの試合を見続けるのではなく、ジルーを観るためにチェルシーの試合を観るようになっていた。

 アーセナルからチェルシーに移籍を許可されるということは、同じ街のライバルチームに行ってもOKと見做されることに他ならないので、ある種の評価の低さも変わらずにあった(ヴェンゲルの恩義で望むチームに許可を出したというのもあるが)。

 ここでエバートンに移籍していたら、この記事はおそらく書けていない。

 

 当時の監督のコンテのリクエストで移籍したものの、「そもそもジルーは出れるんか?」という疑問があった。案の定、主力ではあるがチームの中心とは言えない存在も変わらず。コンテ時代はモラタ、サッリ時代はイグアインがライバルで、どちらも最初の序列は二番手。ビッグクラブと呼ばれるチーム内のNo.1FWになるには、やはり物足りなさがあった。ただ、移籍した最初の試合から即フィットしていたし、「なんかわからんけど(チームの流れとして)良いタイミングで点を決めるな~」というのもお馴染み。

 サッリに至っては、リーグではなくELでジルーを起用していた。が、直接フリーキック(マジかよ! と思った記憶あり)も含めて得点王を獲っている。ELでは得点に限らずプレーも幅広く、非常に高い基礎技術、チームを押し上げるキープ力、DFの裏をボール数個分だけ綺麗に突く巧さなどから、セリエAの上位チームの方がリズム的にも向いてそうやな、と明確に思ったことを覚えている。

 

アザールとのコンビが抜群だったEL決勝のハイパフォーマンス

 特筆すべきは、全盛期のアザールとの出会いだろう。アザールポストプレーを求める時とそうでない時の判断が確実で、ドリブルを邪魔しないようなオフ・ザ・ボールの動きも賢さがあり、アザールが気持ち良くプレー出来るような距離感を維持していた。また、要所でのポストプレーも上手くなっていた印象がある(ペドロやコバチッチも裏抜けしていた印象)。

 古巣アーセナルとのEL決勝では完璧に機能していたし、アーセナル時代に見せたどのパフォーマンスよりも良かったと思っている。そして、こういう大舞台で決めるのがジルーよな……という認識も、確かなものになっていた。

 

 しかし、アザールが移籍した後のランパード時代は、見ていて辛いものがあった。ユース上がりで勢いがあったタミー・エイブラハムが超お気に入りで、ジルーがゴールを決めてもタミーが使われる、みたいな平等でない競争が当初からあり、フランス代表でワールドカップを制したメンバーとは思えないような序列の低さだった。

 監督という仕事をどの視点から考えるかにも依るが、将来有望な若手を使う理由は無限にあれど、その逆は少ない。さらに恐ろしいことに、バチュアイよりも序列が低い時期もあった(と、その当時は思っていたのだが、バチュアイだって戦術と監督次第で大活躍するのがサッカーだと、今は自信を持って言える)。

 チェルシー在籍時に最も印象深いゴールであり、ジルーが逆境に強いという評価を決定づけた試合もランパード時代だ。もちろん、CLのレンヌとのアウェイ戦になる。グループリーグ突破がかかった試合で、絶対に勝たなくてはならない状況でのゴールは、アディショナルタイムということを加味しても本当に凄かった。この試合に至るまで出番が少なく、チャンスすらロクに与えられなかった境遇の中で、チームを救う起死回生のゴール。チームメイトの祝福も印象深く、ある種の感動があった。

 この頃には、ジルーのプレーが好きと言うよりは、ゴールに至るまでの過程にメンタルの強さが表れているところが好きなんやな、と僕は自覚した。

チェルシー、後半ATの劇的ヘッドでレンヌに勝利…ラウンド16進出決定 | サッカーキング

 最終的にランパードはシーズン途中で解任されるのだが、4得点したCLのセビージャ戦もそうだし、FAカップ決勝に導いたマンチェスター・ユナイテッド戦もジルーはゴールを決めていた(デ・ヘアからよく決める印象もある)。

 

 トゥヘル時代も、デビュー戦はスタメンだったものの、やはりベンチが多く……。CLのアトレティコ・マドリード戦でとんでもないオーバーヘッドを決めて敵将のシメオネにまで褒められたのに、続くポルト戦で出場なしだったのは、さすがに悲しくなった。ハヴァーツとマウントを外せないのは仕方がない部分があったとは言え、点が欲しい後半20分~とか、もうちょっと使ってくれよ……と、うじうじ思っていたことを思い出す。

 チェルシーはこの年のCLで優勝したので文句は言えないが、総じて扱いが悪かったこともあり、ACミランへ移籍(契約延長オプションを行使して移籍金を発生させるという面でも貢献)。また、トゥヘルになって戦力外になったタミーとの間に、互いを讃え合うような関係性が生まれていたのも印象深いものがあった。

この方の動画では、CLのレンヌとのアウェイ戦は5位に、オーバーヘッドは1位に。2位のセインツ戦のゴールは貴重で、ドリブルで数人かわせたのは(僕が知る限り)この時だけ。

 

 変な話、プレッシャーがかかる試合、例えば首位を争う試合やこの試合で結果を出さないと終わるなど、ラストチャンスのような試合でジルーは尽く結果を残している。語弊はあるかもしれないが、逆境や重圧がないとパフォーマンスレベルが二段階くらい落ちると言ってもいいくらい。さらに、ゴールを決めた後も問題で、スタメンで使い始めるとな~んか結果残さんな、、、な~んかダレるな……というのも見慣れた光景になっていた。

 つまり、スタメンから落ちて奮起するエネルギーがゴールに直結する、と残してきた結果から断定出来るので、皮肉ではあるが、ランパードが一番上手く使えていたとさえ思える。この記事を見てくだっているブルーズファンの方は、共感していただけるのではないかな、と思っている。

 

 フランス代表でワールドカップを制し、その実績に見合わない悪い境遇でも腐らずに準備し続け、チームのために厭わず泥臭く働き、大きな怪我もせず、チャンスがあればゴールという最高の結果を出して、監督からの低い評価を覆して生き残ってきた選手。それがプレミアリーグでのジルーの総評だ。

 

ファン・ダイクのインタビューで名前が挙がる

「ジルーには最も苦戦させられた」とガリー・ネビルのインタビューで語るファン・ダイク

 また、ジルーには過小評価という言葉もついて回る(You Tubeでもunderratedという言葉をよく見る)。が、先日(2022年11月)のインタビューではファン・ダイクがジルーについて「最も対応に苦しんだFW」として名前を出していた。ざっくり要約すると、アーセナルでもチェルシーでも代表でもな~んか決められるんだよなあ……という内容。確かに、リバポはお得意様と呼べるくらい点決めとるもんな~(勝ってはいない)と思っていたが、ファン・ダイクがセインツ時代のプレーもあって納得した。ドリブルで1回も抜かれなかったシーズン記録を持つほど最強DFとして名高いファン・ダイクだが、ジルーはそもそもドリブルで仕掛けることすらほぼないというのも面白い。

 当たり前だが、サッカー選手間の評価は、各々のプレースタイルで異なるということ。何をどのように評価するのかは人によって異なるのは、どの世界でも同じなのだ。

ファン・ダイク「ジルーには最も苦戦させられた」 | Grande Milan ~ACミラン応援日記~

 

ACミラン


 その後、ACミランへ移籍。長年言われ続けてきた「9番の呪い」を完璧に払拭してスクデットに大きく貢献した活躍は去年のことなので、覚えている方も多いと思う。

イブラヒモビッチにも、優勝後のバスの中で祝福されていた。もうちょっとツインタワーをピッチで見たかったくらいで、監督のピオリの采配と熱意は称賛しか出来ない。

 

 ミランでの印象としては、キックの上手さがとにかく目立つ。プレミア時代よりも前を向いてボールを受けることが多く、味方のラストパスを貰う機会も増えた。ボックス内での力強さは相変わらずだが、外からも良いシュート(先述したアーセナル時代のシティ戦のような)を何回か打っているし(決めてないけど)、PKに関しては世界でも有数のキッカーだと言える。ジョルジーニョネイマールのような駆け引きをする蹴り方ではなく、逆境で結果を残し続けてきたメンタルの強さとキック技術が純粋に表現されている……と考えている。少なくとも、チェルシー加入以降は1回も外していないはずだ。

 また、レオンが覚醒したタイミングで加入したこともジルーにとっては幸運だった。パス交換で崩す場面は少なく、レオンが持ち上がったらプルアウェイでDFの視野から一旦消えるオフ・ザ・ボールの動きは、ミラニスタには毎試合の光景でお馴染みだろう。レオンの強引なドリブルのラストパスを確実に決めるような場面が多く、その恩恵を受けている(ブラヒムのラストパスをもうちょっと決めてあげてほしい)。

 

アーセナル時代に短期間だけチームメイトだったベナセルのゴールをアシストしたポストプレー。でも、目にする回数は減った。

 ポストプレーが上手いとか味方を活かすなどの評価は変わらずだが、それを目にする機会は減っている。基本はボールを自分の元に運ばせてばかりだし、ボックス付近でなければワンタッチではたくだけ。縦ポンなどの放り込みでの勝率は、プレミア時代よりも落ちている印象だ。足の遅さに関しても、アジリティの面では相変わらず。ベンゼマにゴーカートと揶揄されたのも仕方がないかもしれない。

 ただ、相手DFとの駆け引きはベテランらしく巧みで、ポジショニングを間違えることも少ない。DFよりも先にボールを触ってゴールするためのポジションを取る一歩、二歩の速さ・正しさに関しては、絶対にワールドクラスだと断言出来る。ジルーは遅いが、速いのだ。これは前述したファン・ダイクならば痛感していると思う。

 そこにボールを出しさえすれば決めるので、リーグでも屈指の決定力がある選手に変貌しているし、ゴールを決めるとチームに勢いを齎す選手とも結果から言える(トナーリやカラブリアには完璧な理解がある)。そういった選手が守備をサボらないので、チームに好影響を与えられる存在なのは言うまでもないだろう。

 しかも恐ろしいことに、キャリアを通してスプリントの回数が少ない(?)のが結果的に怪我の少なさ・選手寿命の長さにも繋がっていると思える。足が遅いというサッカー選手としてマイナスしか思えないような部分を、強みに変えてしまった、、、と言うのは言い過ぎかもしれないが、そう思えなくもないのだ。

 一方で、、、最終節のサッスオーロ戦で優勝を決定づけるゴールを決めたのはらしさ全開で予想通りだったが……インテル戦やナポリ戦といった大一番で活躍した後、無得点の時間も長かった(ビッグマッチで活躍するので印象的に忘れられがち)。一貫性はないが、プレースタイルに継続性がある点もご愛嬌である。

 

 
 
 
 
 
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イブラとトロフィー数を張り合うように投稿されたインスタグラム

 とは言え、アーセナル時代から見ている僕としては、正直なところ、現在は考えられないくらい良い選手になっている。勝者のメンタリティという言葉があるが、それを持てる選手は一握りのタイトルホルダーのみ。全てを犠牲にしてもタイトルに届かないサッカー選手が大半という厳しすぎる世界で、繰り返し勝ち取ってこなければその基準を選手に伝えられないものだ。それをチームに植え付けるだけの実績やプレー、姿勢や技術があり、今もなお全盛期を更新し続けていると数字が物語っている。

 

ミランでのプレーを少し振り返りたい

 2022年2月6日のミラノダービードッピエッタ(2得点)を記録しているが、その2点目が全てのジルーのゴールの中で一番好きだ。文字通り、スクデットへの道を切り拓いたゴールである。インテルよりも戦力的に劣っていると思える内容の前半だったし、逆転というスパイスもあった。ボールを貰う前から打つことを決めているようなトラップが大好きなのだが、カラブリアが縦パスを出してトラップした瞬間、リヴァプール戦のゴールをすぐに思い出した↓↓。

 このトラップから反転するターンをするプレーは、欧州主要リーグではおそらくジルーしかしていない(スピードがある選手は反転しなくてもシュートを打てるので、DFからすると一手遅れる原因になる)。こういうシュートをもっと打ってくれよ、とアーセナル時代に思っていたことが、まさかこの大一番のために温存(?)していたとは恐れ入る。。。

ミラノダービーをベンチから撮った動画。チームの雰囲気が出ていて好き。

 監督がセレブレーションの輪に向かって走る姿を見たのは初めてだったし、テオが酷いレイトファウルをするシーンでも笑ってしまう(退場してでも勝たなければならない試合で、絶対的に最高の判断だったからこそ)。

 試合後に更新されたインスタグラムの二枚目↓↓の写真を見れば、どれだけ重要なゴールで、どれだけ価値があり、どれだけチームがまとまったのかがわかる(まあ、この試合のMOMはメニャンだと僕は思っているが……笑)。

 
 
 
 
 
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 もう一つ言及したいのが、カスティジェホを抱き上げるシーン。カスティジェホは現在バレンシアに移籍しており、活躍した試合はヴェローナ戦しかなかったと言えるくらい出場機会がなかった。が、この試合に勝たなければスクデットはなかったのだ。ベンチ外になってしまう選手からすると、自分よりも明らかに影響力のあるチームメイトから労いや言葉は、人生を通して忘れられない経験になる……と、自身の経験からも言えるので綴っておく。

【逆転勝利】ミラン対ヴェローナ【2021-22シーズン・セリエA第8節】 | Grande Milan ~ACミラン応援日記~

 

 一つひとつの試合に物語があり、全てのゴール・プレーに意味があった。前評判の低いチームだったが、正真正銘、チーム全員の力で勝ち取った11年ぶりのスクデットだったのだ。経営面でも、選手の活躍面でも、ファンの支えの面でも、どの視点でも喜ばしい、本当に価値あるスクデットだったと感じている。

 

 

 この記事を執筆しているタイミングで開催されたワールドカップ中断前最後の試合:フィオレンティーナ戦でも、最後まで走り続ける姿勢が印象的だった。36歳という年齢を一般的に考えれば、最後のワールドカップになるだろう。フランス代表に入ることがどれだけ難しいかを、ファン以上にチームメイトは理解しているはず。それでも怪我を恐れる様子など微塵もなく、目の前の一試合への熱意を感じ取れたし、スクデットへの意志をチームに伝播させるような姿勢が今のジルーを形成している、、、と思わずにはいられなかった(プレミアでは怪我を恐れて結果的に負けたチームがあったのでそう思ってしまったというのもある。あと、パフォーマンス自体はそこまでだったけど

 

フランス代表


 フランス代表のメンバーを見ればわかるが、各ポジションにとんでもない選手ばかり揃っており、タイプも様々……なんでメンバーに選ばれないの? と選考に怒りを感じてしまう人も他国の比ではないだろう。代表漏れしたメンバーだけで、もう一チーム作れてしまう。

 それでもフランス代表にしぶとく残り続け、積み重ねてきた49ゴール(執筆時点)。デシャン就任時から継続的に呼ばれているが、デシャンも常に最高の信頼を置いていたわけではない。チェルシーで不遇の中にいる時は移籍を促していたし、グリーズマンなどとは違い、スタメン落ちを何度もしている。それでも出場すれば点を決めるし、何よりジルーを起用するとチームとして上手くいく、という好感覚は認めざるを得ないはずだ。

49ゴールの中で個人的に最も印象深いのは、2020年の12月のスウェーデン戦のダイビングヘッドでのゴール(2:39~)。この時の喜び様↓↓は、チェルシーでは全然出れてないけどオレはまだまだやれる、という強烈な意思表示に他ならなかった。

 

 現に、優勝した2018年のワールドカップの初戦もベンチスタートだったが、チームを機能させたのはジルーだった(厳密には、最前線で体を張って攻守の起点になり、DFラインを下げるなど味方のスペースを創出、潰れ役の役割を完遂。前線だけでなく、中盤のマテュイディやカンテの守備、ポグバのシュートコース創出などにも好影響があった)。

 現代表でも、ムバッペと相性が一番良い選手は誰かと問われれば、絶対にジルーだ。 ムバッペという選手を見ていると、結果を残すことに執着しているのがまず第一。そして、独力よりもチームメイトとの崩しを出来ればしたい、という意志を感じてしまうことが個人的には多い。にも関わらず、要求したボールが来ないとキレるという……そのわがままっぷりが監督からも許されるほど、圧倒的に上手いということがわかる。

2022年10月のオーストリア戦。ムバッペとのワンツーをした後に、今度はDFを引き連れてドリブルコースを作るオフ・ザ・ボール。この「察する」判断の速さもジルーの真骨頂。そして、技術的にもこの狭いスペースでワンツーをそつなくこなせる選手はそういない。

 ワールドカップの前後にはジルーのことをインザーギと揶揄して嫌い(良いところだけ掻っ攫うという意味・あとは髪を触られて不貞腐れてた笑)、EURO時には揉めて、PSGの新契約ではある程度の権力を持ったとされるムバッペ。将来のバロンドール最有力候補の一人なのは間違いないし、よく考えなくても、こんな選手とプレーするのにプレッシャーがないはずはない。が、そこはプレッシャー大好物のジルーという構図も面白いと思えるのだ笑。

 オーストリア戦後には、PSGとの役割の違いを言及して物議を醸しており、つまりは自分のために犠牲になってくれるジルーの重要性を意味している。セレブレーションを見ると完全に仲直りしているのもわかるので、互いに一悶着起こした後だからこそ良い関係を築けているのかな、と思ったり。


 ミランに移籍して以降、ベンゼマが代表復帰してからはジルーが外され、ベンゼマが怪我をしたら追加招集されるという、扱いとしては良くない一年だった(若手を差し置いて大ベテランを複数人招集する必要性を考えても、デシャンの判断は正しいと思う)。それでも、追加招集されたら連続でスタメン起用され、しかもきっちりとゴールしていたのは、本当に圧巻だった。前述したように、招集されなくなった悔しさが最高の結果を生み出すようで……こんなにチャンスを活かし続けるサッカー選手を僕は知らない。これ以上何をすれば良いの? と周囲が感じてしまうほどの凄まじいパフォーマンスをミランで連発し、ワールドカップのメンバー入りを果たしたのは本当に凄いの一言だ。

 そしてこれは予想になるが、アンリの持つ記録へのブーストもあり、上手くいけば大会中に記録に並ぶことが出来るだろう。ただ……、メンバー発表直前のUNLのデンマーク戦では中盤を制圧されて完敗していたので、フランス代表はポグバとカンテがいなくてダメでした、という大会にも充分になりうる。デシャンの腕の見せ所と言える。

(ただ、活躍したらしたで、ミランではダメになると予想。オリギでは危機感を与えられていないので、やはりイブラ復帰が待たれる)。

 

 また、ジルーがアンリより上と評価する人は、僕も含めてそんなにいないんじゃないかな。全盛期のアンリのプレーを見たことがある人は特に。でも、プレイ内容云々の前に、超えることが出来た、という事実は数字に残る。何より、サッカーは数字であり、数字は結果そのものだ。

 僕がこの記事を書かなければと思った最大の理由が、アンリの持つフランス代表歴代ゴール記録を超える瞬間を見たい! と思えるまでの過程を書きたかったから。アーセナル時代から続いている監督やチームメイト、ファンからの過小評価は個人的にはその通りだと思う。が、印象ではなくプレーと数字を見れば、最早改ざるを得ない。マルディーニがジルーを語る際に必ずカンピオーネ(王者)という言葉を使うように、アンリの数字を超えた時には、キャリアを通して勝ち取ってきた選手として文句のつけようがない存在になれるはずだ。

 

 そして、デシャン退任後、、、ジダンが代表監督になっても引退しない限り、そのうち呼ばれるんじゃないかな、とも予想している。くどいようだが、ムバッペとの相性が最も良いのはジルーであり、フランス代表の最前線でチームを機能させる選手だけは多くないのだ。怪我の傾向からみても、ベンゼマより長くキャリアを続けていけるだろう。また、ムバッペが代表で10番をつけ続ける限り、どうしても守備面でチームバランスは悪くなるのは周知の事実。都合の良い呼ばれ方をしても起用すれば結果を出し、監督を悪い意味で悩ませることもしないジルーが重用されるのは想像に難くない。

 

僕の話を少し なぜここまでジルーに惹かれるのか

 海外サッカーを見ていると、サッカー選手になりたかったなあ……と安易に考えてしまうことが何度もある。しかし、小学校で最も仲の良かった友だちが全国優勝・九州選抜に入り、東◯◯高校に特待で進学するような環境だった。そういった別次元の選手を間近で何人も見てきたこともあり、僕には不可能だった……と妄想すら出来ずに改めざるを得ないのだ。

 おまけに、怪我が多く(ウイイレやと耐性Cやろ! と未だにイジられる)、努力すること・練習が嫌いで、効率やサボることを真っ先に考える。高校で格下チームに入ってからは、足が遅いチームメイトを常に下に見ていたし、ヘディングも嫌いで竸った演技だけは上達。実力を過信アンド過信して、傲慢で自己中そのものだった。陰キャの友だちは口を揃えて「サッカー部が嫌い」と言うが、そのサッカー部そのものだった、と同級生から言われてしまうので、わかりやすいかもしれない。

 

 ジルーを見ていると、僕とは何から何まで異なる上に、自分が間違っていることを結果で教えてくれるから好きなのだ。正しい方向性の努力することは絶対に正しいし、コンディション調整もそう、目の前の仕事に真摯であること、謙虚に物事を継続していくこと、そしてイケメンであることも。準備を怠らず、腐らず、自分を信じ、与えられたチャンスをこれほどまでに完璧に活かす人を、僕は知らない。

 また、同い年という事実も拍車をかける。同年代の有名人を見て自分も頑張れる、みたいな感情を、初めて理解したのもジルーだったりする。今はブロガーとして生計を立てているが、やはり取材を続けてきたサッカーのノンフィクション小説を世に出したい、という熱を呼び起こされるのだ。あきらめる必要なんて全くない、と。
 
 ミランとの契約延長のニュースもそのうち届くだろう(そして、その後は調子を落とす気も……)。それでも、今のミランならチームで乗り越えてくれるし、ビッグマッチでは輝いてくれるはずだ。CLのスパーズ戦ももちろん楽しみにしている。

 

★アンリのフランス代表歴代ゴール記録を超えてくれたら、また追記します。ワールドカップ、楽しみ★

 

 
 
 
 
 
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ちなみに、433でイブラヒモビッチが答えたインタビュー。今大会で最高のFWは?

 

(2022年11月23日 追記)

オーストラリア戦で2ゴール!! 1点目はラビオ様々でしたが、2点目はこの記事で言及したポジショニングの良さが出ていた完璧なヘディングだったと思います。どうせならテオのクロスからのボレーも決めて欲しかったなあ~。デンマーク戦の結果次第では得点王(……はさすがに難しいか)も狙えるかもしれませんね。次の試合も追記します

(2022年11月27日 追記)

あれだけボコられたデンマークに本番で勝ち切るのはさすがとしか言えないですね。ムバッペはチートと言っても良いくらい。テオやジルーが気を遣うのも納得というか、言わずもがなでした。あとは、グリーズマンは2018年以降最高のパフォーマンスだったと思います。攻守の顔出し、パスコース創出、ラストパスも含めて。また、個人的には、ラビオが随所で効いていたのも印象的でした。グループリーグ突破も決定しましたし、引き続き応援していきます。また追記します

 

 

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