
【2026年7月更新】
第12回MOE絵本屋さん大賞2019は、2019年に刊行された絵本の中から、全国の絵本専門店・書店の児童書担当者が選んだランキングです。大賞は竹下文子さん・町田尚子さんの『なまえのないねこ』でした。
この記事では、第1位から第15位までの結果、新人賞、パパママ賞をまとめています。順位だけでなく、どんな作品なのか、大人が読んだときにどこが心へ残るのかも短く紹介します。
MOE絵本屋さん大賞2019の結果一覧
| 順位 | 作品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | なまえのないねこ | 名前と居場所を探す猫の物語 |
| 2位 | ころべばいいのに | 嫌いな人への感情との付き合い方 |
| 3位 | たべものやさん しりとりたいかい かいさいします | 食べ物屋さんのしりとり対決 |
| 4位 | それしか ないわけ ないでしょう | 未来には複数の可能性がある |
| 5位 | へいわとせんそう | 平和と戦争を比較する |
| 6位 | みずとは なんじゃ? | 水の性質を学ぶ科学絵本 |
| 7位 | Michi | 文字のない美しい旅 |
| 8位 | ねえさんといもうと | 姉妹の成長と関係の変化 |
| 9位 | ねこのずかん | 猫の生態を知る図鑑 |
| 10位 | ノラネコぐんだん おばけのやま | おばけの山で大騒動 |
| 11位 | このほん よんでくれ! | 本を読みたいオオカミ |
| 12位 | ぼくはなきました | 自分の長所に気づく |
| 13位 | くろいの | 孤独へ寄り添う不思議な友だち |
| 14位 | セミ | 働く大人に刺さる風刺 |
| 15位 | エジソン ネズミの海底大冒険 | ネズミの発明と海底冒険 |
大人にもおすすめしたい3冊
- 孤独や居場所を考える:『なまえのないねこ』
- 人間関係で疲れたとき:『ころべばいいのに』
- 働くことを考え直す:『セミ』
MOE絵本屋さん大賞2019ランキング1~15位
1位:なまえのないねこ
町で暮らす猫たちはみんな名前を持っているのに、主人公の猫には名前がありません。自分に似合う名前を探し始めますが、最後に気づくのは、名前よりもずっと欲しかったものです。
おすすめポイント
ひとりぼっちの猫が求めていたものがわかった瞬間、物語の見え方が変わります。「誰かに見つけてもらうこと」「自分を呼んでもらうこと」の温かさが、大人にも深く残る一冊です。
2位:ころべばいいのに
嫌いな人のことを考えるだけで、何もされていない時間まで嫌な気持ちになってしまう。そんな感情との付き合い方を、ヨシタケシンスケらしい発想で描きます。
おすすめポイント
「嫌いな人がいてはいけない」と説教するのではなく、嫌な感情を自分から少し離して眺める方法を示してくれます。人間関係で疲れている大人にも向く“心の処方箋”です。
3位:たべものやさん しりとりたいかい かいさいします
商店街の食べ物屋さんがチームに分かれ、店の商品を使ったしりとり大会へ挑みます。寿司屋、パン屋、ラーメン屋など、個性の違う店が本気で勝負します。
おすすめポイント
言葉遊びだけでなく、勝ち負けに一喜一憂する店主たちの熱量が楽しい作品です。食べ物の名前を覚えながら、親子で次の言葉を考えて参加できます。
4位:それしか ないわけ ないでしょう
未来には大変なことしか待っていないと兄から聞き、不安になった女の子。おばあちゃんの「それしかないわけないでしょう」という言葉から、未来の選択肢が広がります。
おすすめポイント
悪い未来を一つ想像すると、それだけが確定したように感じてしまいます。本作は、別の可能性も同時に考えるだけで気持ちは変わると教えてくれます。不安が強い大人にも刺さります。
5位:へいわとせんそう
同じ人、同じ場所、同じ道具を「平和」と「戦争」の二つの場面で並べ、その違いを短い言葉と絵で見せる作品です。
おすすめポイント
戦争を遠い歴史として説明するのではなく、普通の暮らしがどう変わるのかを比較で伝えます。言葉が少ないからこそ、読む側が立ち止まり、自分で考えられる絵本です。
6位:みずとは なんじゃ?
飲む、洗う、流れる、凍る、蒸発する。毎日触れている水の性質を、暮らしの場面からわかりやすく説明する科学絵本です。
おすすめポイント
当たり前に使っている水を「そもそも何だろう」と考える入口になります。知識を並べるだけでなく、自然環境や命を支える水へ関心が広がる構成です。
7位:Michi
白い道をたどりながら、さまざまな町を旅する文字のない絵本です。細部まで描き込まれた景色から、読む人が自分だけの物語を見つけます。
おすすめポイント
文章がないため、同じページでも見るたびに発見が変わります。子どもは自由に物語を作り、大人は美しい画集のように眺められる、長く手元に置きたい作品です。
8位:ねえさんといもうと
いつも姉について歩いていた妹が、少しずつ自分で考え、行動するようになります。姉妹の関係が変わる瞬間を静かに描いた物語です。
おすすめポイント
世話をする側とされる側は、成長とともに入れ替わります。子どもの自立を喜びながら寂しく感じる気持ちや、姉妹だからこその距離感が丁寧に伝わります。
9位:ねこのずかん
猫の種類、体の特徴、しぐさ、猫語、仲良くなる方法までを細かな絵で紹介する図鑑絵本です。
おすすめポイント
猫を眺めて楽しむだけでなく、なぜその行動をするのかまで知ることができます。子どもの疑問に答えやすく、猫好きの大人にも読み応えがあります。
10位:ノラネコぐんだん おばけのやま
お団子屋さんへ忍び込み、勝手にお団子を作ったノラネコぐんだん。ところが、お団子が竜巻に飛ばされ、不気味な山へ向かうことになります。
おすすめポイント
お決まりのいたずらと反省を楽しみながら、今回はおばけや山の冒険も加わります。怖さと笑いのバランスがよく、シリーズを初めて読む親子にも入りやすい一冊です。
11位:このほん よんでくれ!
絵本の続きが知りたいオオカミは、字が読めません。みんなに怖がられる中、一匹のウサギが本を読んであげることになります。
おすすめポイント
食べる側と食べられる側だった二匹が、絵本を通じて関係を変えていきます。「物語を知りたい」という純粋な気持ちが、学ぶことや読むことの喜びへつながります。
12位:ぼくはなきました
参観日で「自分のいいところ」を発表することになった少年。友だちの長所はたくさん見つけられるのに、自分には何もないと思い込んでしまいます。
おすすめポイント
自分の長所は、自分にとって当たり前すぎて見えないことがあります。先生が教えてくれた“友だちのいいところを見つけられる力”に、読者も自分の価値を見直せます。
13位:くろいの
ひとりで帰る女の子が、自分にしか見えない黒い生き物と出会います。言葉を交わさないまま、その家や幻想的な世界へ招かれます。
おすすめポイント
孤独な子どもの心へ、説明せずに寄り添う「くろいの」の存在が温かい作品です。モノクロの銅版画なのに、暗闇の中の世界が豊かに感じられます。
14位:セミ
人間の会社で17年間働きながら、評価も昇進も与えられず、差別され続けるセミ。定年の日、物語は大きく反転します。
おすすめポイント
会社員生活、差別、搾取、自由など、読む人によって見えるテーマが変わります。子ども向けという枠では収まらない、働く大人にこそ読んでほしい風刺絵本です。
15位:エジソン ネズミの海底大冒険
先祖が残した宝を探す子ネズミと教授が、海底へ沈んだ船を目指します。知識と好奇心を使い、自分たちで潜水艇を作る大冒険です。
おすすめポイント
緻密な絵を眺める楽しさと、発明が完成していくわくわく感があります。長めの物語を読みたい子どもや、機械・探検ものが好きな大人にも向きます。
MOE絵本屋さん大賞2019 パパママ賞
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | ノラネコぐんだん おばけのやま |
| 2位 | たべものやさん しりとりたいかい かいさいします |
| 3位 | ねむねむごろん |
| 4位 | しろくまきょうだいのケーキやさん |
| 5位 | さかながはねて |
1位と2位は総合ランキングでも紹介した作品です。ここでは、パパママ賞だけに入った3冊を紹介します。
3位:ねむねむごろん
動物たちの眠る姿と繰り返しの言葉が、自然に横になる流れを作ります。寝かしつけの時間を急がず、親子で落ち着くための絵本です。
4位:しろくまきょうだいのケーキやさん
兄のポールが注文に応えてケーキを作り、弟のノエルが店を手伝います。かわいい兄弟とおいしそうなケーキを眺めるだけでも楽しい作品です。
5位:さかながはねて
人気の手遊び歌を絵本化。歌いながら体を動かせるため、読むだけで終わらず、幼い子どもと一緒に遊べます。
MOE絵本屋さん大賞2019 新人賞
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | むれ |
| 2位 | まよなかのせおよぎ |
| 3位 | まめざらちゃん |
| 4位 | ドン・ウッサ そらをとぶ |
| 5位 | Michi |
1位:むれ
さまざまな「むれ」の中から、仲間外れを探す参加型絵本です。違うものを見つける面白さだけでなく、最後には「同じでなくてもいい」と感じられます。
2位:まよなかのせおよぎ
眠れない少女が、夜空を背泳ぎする人物を追いかけます。静かな街と浮遊感のある絵が心地よく、眠る前にゆっくり眺めたい作品です。
3位:まめざらちゃん
ごちそうを盛りつけてもらいたい小さな皿が、自分の役割に寂しさを感じています。小さな存在にも出番があり、幸せが広がる優しい物語です。
4位:ドン・ウッサ そらをとぶ
空を飛びたい親分のため、三羽の子分が大まじめに無茶な作戦へ挑みます。子分たちの健気さと、毎回ずれていく方法が大人にも笑えます。
新人賞5位:『Michi』は総合ランキング7位にも入っています。作品紹介へ戻る
MOE 2020年2月号では作家インタビューも掲載
ランキングの詳しい選評、受賞作家へのインタビュー、制作風景、絵本屋さんの推薦コメントまで読みたい場合は、結果を発表した『MOE 2020年2月号』が資料になります。現在は新品を入手しにくいため、中古在庫も含めて探す形になります。
MOE絵本屋さん大賞2019まとめ
2019年は、『なまえのないねこ』『ころべばいいのに』『セミ』のように、子ども向けでありながら孤独、人間関係、働き方まで考えさせる作品が多く選ばれました。一方で、『ノラネコぐんだん おばけのやま』『むれ』『さかながはねて』など、親子で声を出して楽しめる作品もそろっています。
まず一冊選ぶなら、物語としての完成度と余韻が強い大賞作『なまえのないねこ』がおすすめです。大人が自分のために読むなら、『ころべばいいのに』と『セミ』も候補になります。
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