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パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語は前作を超えたのか?本所七不思議クリア済みが感想を書く

Nintendo Switch2アプリ

パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語

2026年2月19日に発売したNintendo Switch™/Steam®/iOS/Androidソフト『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』をクリアしました。

結論から言うと、前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』が好きだった人なら、かなり高確率で楽しめる続編だと思います。ただ、単純に「前作を超えた!」と書けるかというと、少し悩みます。その辺りを書きつつ、真エンドのネタバレなどをガッツリ書いております。

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高校時から婚活せざるを得ず、戦略的に恋愛を始める→大卒後、就職に失敗→薬学生の彼女のヒモを経てブロガーに(15年の交際を経て結婚!)。エンタメ分野のレビュー、感謝を綴ったエッセイが好評。当時の内容を綴ったノンフィクション小説「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」が電子書籍化しました!

パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語 とは

◆『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』とは◆
舞台は三重県伊勢志摩地方。
不老不死をもたらすという人魚の謎をめぐり、夏の離島で繰り広げられる群像伝奇ミステリー

それぞれの思惑は交錯し、やがて数百年の歴史をまたいだ
人魚の呪いを巡る驚愕のドラマへと結びついていく——
数百年の時を越えた真実とは——?

www.jp.square-enix.com

プレイ人数:1人

ジャンル:青春群像伝奇ミステリー

CERO:C

希望小売価格:2,480円(税込)

前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の感想・評価はこちら

結論:本作は前作プレイ推奨です

本作『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』は、前作『FILE23 本所七不思議』と物語が直接つながっているわけではありません。

舞台も登場人物も違います。前作は昭和後期の墨田区、本作は三重県伊勢志摩地方の離島が舞台です。

なので、「前作をやっていないと話がわからない」というタイプの続編ではありません。ですが、個人的には前作を先にプレイしてから本作に入ることを強くおすすめします。

理由は、ストーリーのつながりではなく、ゲームの作法ですね。

『パラノマサイト』は、ただ文章を読むだけのノベルゲームではありません。複数のキャラクターを操作し、資料を読み、分岐を確認し、ときにはバッドエンドを踏みながら、少しずつ真相に近づいていく作品です。

この感覚を前作で知っているかどうかで、本作の入りやすさはかなり変わると思います。

前作と同じだった良さ

群像ミステリーとしての没入感が強い

前作で一番好きだったのは、複数の人物の視点を切り替えながら、事件の全体像が少しずつ見えてくるところでした。

本作もそこは変わりません。伊勢湾に浮かぶ離島・亀島。海女の少年・水口勇佐、親友の雲居アザミ、正体不明の少女、宝を探しに来た外国人、水死体を調査する謎の主婦。

最初はバラバラに見える人物たちの行動が、少しずつ人魚の伝承、不老不死、島の歴史へとつながっていきます。

このあたりは、前作の「本所七不思議」を追っていた人々の思惑が絡み合っていく感覚にかなり近いです。

誰が何を知っているのか。誰が嘘をついているのか。どの時間に、どの人物が、どこで何をしていたのか。そういう情報が、キャラクターの会話や資料を通して少しずつ積み上がっていく感じが良いです。

やっぱり『パラノマサイト』は、物語の見せ方がうまい。好き★

土地の空気をゲームにする力がすごい

前作『本所七不思議』は、墨田区の空気、昭和レトロ、地元の伝承が見事にゲームへ落とし込まれていました。

本作は伊勢志摩です。海、離島、素潜り、古い伝承、人魚の謎。。。

舞台が変わったことで、前作の暗い都市伝説的な雰囲気とはまた違う、夏の湿度や島の閉塞感のようなものが出ています。前作は「夜の街を歩いている怖さ」がありましたが、本作は「明るい海のそばにある不気味さ」があります。

ホラーとしての怖さは前作のほうが強かったかもしれません。ですが、土地に眠っている伝承を掘り起こしていく面白さは、本作もかなり良かったです。

資料を読むのが楽しい

『パラノマサイト』の好きなところは、資料や人物ファイルを読むのが苦にならないところです。むしろ、資料を読んでいる時間がかなり楽しい。

人物情報、島の伝承、事件に関係するメモ、用語の説明。そういった細かい情報がしっかり作られているので、世界観に入り込みやすいです。

ただし、これは人を選ぶ部分でもあります。活字を読むのが苦手な方、資料を読むのが面倒な方には、少し重く感じるかもしれません。逆に、ゲーム内のテキストを読むのが好きな方にはかなり刺さると思います。

前作より遊びやすくなったところ

相関図と資料まわりが見やすい

本作で一番ありがたかったのは、情報の整理が前作よりしやすくなっている点です。

前作も十分に遊びやすかったのですが、本作では相関図や資料まわりが見やすくなり、誰がどこにいて、誰とどう関係しているのかを追いやすくなっています。

土地勘がなくても、今どこで何が起きているのかが分かりやすい。群像劇は面白い反面、人物が増えると一気に混乱しやすくなります。そこを整理しながら見せてくれるのは、かなり親切でした。

やり直しがしやすい

駆け引きに失敗したり、選択肢を間違えたりすると、普通に死亡することもあります。

ただ、直前からやり直せるのでストレスは少ないです。

ミスをしたからといって大きなペナルティがあるわけではありません。むしろ、バッドエンドを見ること自体がヒントになっていることもあります。

このあたりは前作と同じです。

ただ、本作はチャート分岐や確認がしやすく、別ルートへ進む負担は少し軽くなっている印象でした。同じ会話を何度も何度も読まされる作業が少ないのはありがたいです。

前作の不満点が少し減っている

前作で個人的に少し面倒だったのは、会話するためにカーソルを何度もキャラクターの顔に移動させるところでした。

会話後にカーソルが戻り、また顔に合わせて話を聞く。これを何度も繰り返すのが、マジで面倒でした。

本作でも基本的な操作感は近いですが、情報整理や移動まわりが分かりやすくなっているので、全体としてはかなり遊びやすくなっていると思います。

前作より気になったところ

真エンド到達は少し難しい

ゲーム慣れしていない方、前作をプレイしていない方は、真エンド到達で少し詰まるかもしれません。

普通にプレイしているだけだと、「え、ここからどうすればいいの?」となる場面があります。もちろん、謎解きとしては理不尽ではありません。ヒントもありますし、やり直しもできます。

ただ、前作を経験していないと、『パラノマサイト』特有の「ゲーム外の自分も含めて考える」ような感覚に気づきにくいかもしれません。

そういう意味でも、やはり前作プレイ推奨です。

終わり方の後味は人を選ぶ

本作は、ストーリーもキャラも良かったです。それでも、終わり方については少しだけモヤモヤが残りました、、、。

前作『本所七不思議』は、真エンドに到達したときの納得感が強かったです。もちろん心残りはありましたが、「そういうことだったのか」と一気に見え方が変わる気持ちよさがありました。

本作にも真エンドの良さはあります。ただ、個人的には真エンド後に見られる別エンディングの構造が、少し後味を損ねているように感じました。

別の分岐を見ることで「いや、そっちも見ないといけないのか……」となる部分があります。まあこれは好みの問題だと思われます。

全部見たい人には嬉しい。ですが、真エンドの余韻を大事にしたい人には、少し引っかかるかもしれません。

ホラーとしての怖さは前作のほうが上

本作にもホラー演出はあります。ただ、怖さだけで言えば、前作のほうが印象に残っています。

前作は、夜の公園、呪い、殺意、昭和の街並みがかなり不気味でした。最序盤から「これはヤバいゲームだ」と思わせる勢いもありました。

本作は、どちらかというと伝奇ミステリーや青春群像劇の色が強いです。もちろん、それが悪いわけではありません。むしろ本作の魅力でもあります。ただ、「前作みたいな怖さ」を期待しすぎると、少し違う印象になるかもしれません。

キャラクターは本作もかなり良い

本作もキャラクターが良かったです。

前作は、興家彰吾、津詰警部、やっこちゃん、ミヲちゃん、リヒタなど、それぞれが強烈でした。

本作も、登場人物の立ち位置や関係性が少しずつ見えてくるにつれて、どんどん印象が変わっていきます。

最初は「この人は何をしているんだ?」と思っていたキャラが、後半で一気に意味を持ってくる。このあたりは『パラノマサイト』らしいです。

ボイスはありません。ですが、表情、立ち絵、テキスト、BGMの使い方がうまいので、ボイスなしでも物足りなさはあまり感じませんでした。

むしろ、ボイスがないことで、自分のペースで一気に読めるのが良いところでもあります。

速読術を持っていると、かなりサクサク進みます。

前作とFILE38、どちらが好きだったか

個人的には、衝撃度は前作、遊びやすさは本作です。

前作『本所七不思議』は、何も知らずに始めたこともあり、ゲーム全体の仕掛けに驚かされました。最序盤の展開、呪いの設定、複数キャラの視点、真エンドへの導線。全体的に「こんなゲームだったのか」という驚きが強かったです。

一方で、本作『伊勢人魚物語』は、前作を知っているぶん、ある程度「こういうゲームだろう」と分かった状態で始めています。そのため、前作ほどの衝撃はありませんでした。

ただし、続編としてはかなり誠実です。

前作の良さを壊さず、舞台と伝承を変え、遊びやすさを上げて、別の後味を残してくる。前作が好きな人に向けた続編としては、かなり満足度が高かったです。

どんな人におすすめ?

  • 前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』が好きだった人
  • 伝奇ミステリーが好きな人
  • 群像劇が好きな人
  • 資料や人物ファイルを読むのが苦にならない人
  • バッドエンドを踏みながら真相へ進むゲームが好きな人
  • ボイスなしのノベルゲームでも楽しめる人

逆に、以下のような方には少し合わないかもしれません。

  • 文章を読むゲームが苦手な人
  • すぐにアクション性を求める人
  • 攻略を見ずに絶対スムーズに真エンドへ行きたい人
  • 前作と同じレベルのホラー感を期待している人

とはいえ、操作自体はかなり簡単です。

周囲を見渡し、調べ、会話し、資料を読み、分岐を確認する。基本はそれだけです。

ゲームが得意でなくても、読むことが苦でなければ十分楽しめると思います。

クリア時間・クリア後

クリア時間は、だいたい8〜10時間ほどでした。

ほぼノンストップで一気にクリアしました。

クリア後はこっちを向いてくれます

クリア後の大きな追加要素は、そこまで多くありません。

なめどりなどの収集要素をすべて集めたい方は、クリア後も少し遊べます。ただ、基本的にはストーリーを最後まで見届ける作品です。

ネタバレ

真エンド「亀島の双神伝説」ネタバレ要約

本作の真エンドは、簡単に言うと「白浪里をもう一度不老不死にして、勇佐と同じ時間を生きられるようにするエンド」です。

通常の結末では、白浪里は寿命を迎えて消えてしまいます。勇佐たちは人魚の呪いや亀島の事件にたどり着きますが、それだけでは里を救うことができません。

そこで必要になるのが、白浪里を「もう一度、不老不死にする」ことでした。

白浪里の正体は、昔、人魚の肉を食べて不老不死になった存在です。しかし、その不老不死にも限界があり、作中では寿命切れが近づいていました。だからこそ、普通に進めた結末では、里は勇佐の前から消えてしまいます。

一方で、勇佐もまた普通の少年ではありませんでした。

作中の真相として、勇佐自身も八百命寿、不老不死の存在になります。つまり真エンドは、ただ白浪里を助ける話ではなく、同じく長い時間を生きることになった勇佐が、白浪里をひとりにしない話でもあります。

真エンド到達の仕掛けも、かなり『パラノマサイト』らしいものでした。

チャート内の選択肢を選ぶだけではなく、タイトル画面やゲーム外の操作まで使って、人魚へ干渉する必要があります。そこでプレイヤーは「水口勇佐」として人魚に接触し、人魚の肉を過去へ送る。

その結果、過去の玉手箱へ人魚の肉が届き、白浪里はもう一度不老不死になることができます。

つまり、真エンドで起きていることはこうです。

白浪里は寿命で消えるはずだった。
でも、プレイヤー=勇佐のもう一つの意識が、人魚の肉を過去へ届ける。
その結果、白浪里は再び不老不死になる。
そして、同じく八百命寿となった勇佐と、永い時間を共に生きていく。

だから真エンド名は「亀島の双神伝説」です。

人魚の呪いによって長く生きることは、本来なら孤独で、悲劇のはずです。ですが本作の真エンドでは、その呪いを「二人で生きていくための祝福」に変えています。

前作『本所七不思議』の真エンドは、プレイヤー自身を巻き込む仕掛けの衝撃が強かったです。

本作『伊勢人魚物語』の真エンドも、プレイヤーを物語の外側から関わらせる構造は同じです。ただ、後味は少し違います。

前作が「世界の仕組みに気づく真エンド」だとすれば、本作は「消えるはずだった少女を、少年と同じ時間へ引き戻す真エンド」でした。

不老不死になった二人が、永遠に近い時間を生きていく。

恐ろしいことかもしれませんが、勇佐と白浪里の関係を考えると、本作における一番救いのある結末だったと思います。

真エンド自体は良かったです。数百年の歴史、人魚の謎、不老不死、島に残された因縁。そこまで積み上げてきたものがつながっていく感覚は、やはり『パラノマサイト』でした。

これはわからん…

ただ、前作の真エンドほど衝撃はなかったかもしれません。前作は、プレイヤー自身を巻き込む仕掛けがかなり強かったです。本作もそういう要素はありますが、前作を経験しているぶん、驚きよりも「今回も来たな」という感覚が少しありました。

それでも、物語としての満足度は高いです。

白浪里をどう救うのか。人魚の呪いとどう決着をつけるのか。島の歴史と登場人物たちの思惑がどう結びつくのか。最後まで読ませる力はしっかりありました。

各エンディングの後味

本作のエンディングは複数あります。

個人的に気になったのは、トゥルーエンド後に見ることになる分岐エンドです。

白浪里が寿命で死ぬエンド。

これを避けるのが真エンドです。

このあたりは、真エンドの価値を高めるための分岐として納得できます。

問題はその後です。

菊子を呪殺するか、拘束するかで分岐するエンディング。

ここは内容そのものより、見るタイミングが少し気になりました。

トゥルーエンドのあとにしか見られないため、せっかく綺麗に終わった余韻のあとで、別の後味を足される感じがあります。

もちろん、全部見たい人には嬉しい要素です。ただ、個人的には真エンドの余韻をそのまま残したかった気持ちもあります……。なんやこれっていう笑

本作の不満点の一つ

まとめ:前作が好きならFILE38も遊ぶべき

『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』は、前作『FILE23 本所七不思議』の良さをかなりしっかり受け継いだ続編でした。

複数キャラクターによる群像劇。土地の伝承を活かしたミステリー。資料を読みながら真相へ近づく楽しさ。バッドエンドを踏み、分岐を確認し、少しずつ正解に近づいていくゲーム性。このあたりは、前作が好きだった人ならかなり安心して楽しめると思います。

一方で、真エンド周りの後味や、ホラーとしての怖さについては、前作のほうが好きだった部分もあります。

なので、前作の衝撃には届かない。けれど、続編としてはかなり面白い。

これが一番しっくり来ます。前作をプレイ済みの方にはおすすめです。未プレイの方は、先に『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』を遊んでから、本作『FILE38 伊勢人魚物語』に進むのが一番良いと思います。

前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の感想・評価はこちら

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