
【2026年7月更新】
2023年のMOE絵本屋さん大賞は、柴田ケイコさんの『パンどろぼうとほっかほっカー』が1位に選ばれました。
『パンどろぼう』シリーズとしては、2020年の第1作が2位に入って以来の大賞受賞です。パンどろぼうが新しい車を作り、焼きたてのパンを届けに走る物語となっています。
2位は生きる意味を考える『メメンとモリ』、3位は料理の楽しさを取り戻す『パンダのおさじと フライパンダ』でした。
この記事では、第16回MOE絵本屋さん大賞2023の1~10位、新人賞、0・1・2歳向けのファーストブック賞をまとめて紹介します。
MOE絵本屋さん大賞2023の結果一覧
| 順位 | 作品名 | 内容 |
|---|---|---|
| 1位 | パンどろぼうとほっかほっカー | 新しい車でパンを届ける |
| 2位 | メメンとモリ | 生きる意味を考える3つの物語 |
| 3位 | パンダのおさじと フライパンダ | 料理の楽しさを取り戻す |
| 4位 | おすしが ふくを かいにきた | 食べ物と日用品の見立て写真 |
| 5位 | 星をつるよる | 眠れない子どもたちの夜 |
| 6位 | ねことことり | 違いを越えてつながる二人 |
| 7位 | ぼくはいったい どこにいるんだ | 自分の心を地図にする |
| 8位 | すしん | 謎のすしたちが駆け抜ける |
| 9位 | いちじくのはなし | ほら吹きいちじくの絵童話 |
| 10位 | ニンジンジン | ニンジンを追うウサギたち |
大人が読んでも面白い3冊
- 生きる意味が分からなくなったとき:『メメンとモリ』
- 違う相手との関係を考える:『ねことことり』
- 頭と心を整理したいとき:『ぼくはいったい どこにいるんだ』
MOE絵本屋さん大賞2023を1位から紹介
1位:パンどろぼうとほっかほっカー
ヤギのおばあさんから、遠くに住む孫へパンを届けてほしいと頼まれたパンどろぼう。しかし、歩いても歩いても目的地へたどり着けません。
そこでパンどろぼうが作り上げたのが、焼きたてのパンと温かな気持ちを運ぶ「ほっかほっカー」です。
シリーズらしい表情の面白さに加えて、困っている相手のために知恵を絞るパンどろぼうの優しさが残ります。失敗しても工夫し、目的地へ向かう姿を素直に応援したくなる一冊です。
2位:メメンとモリ
姉のメメンと弟のモリを通して、「人は何のために生きているのか」を考える3つの物語です。
非常に大きな問いを扱っていますが、立派な答えや感動的な教訓を押しつける作品ではありません。人生には意味がないかもしれない。それでも、目の前にあるものを大切にして生きてもよいのだと感じさせます。
何かを頑張る理由が分からなくなったときや、自分の生き方を考えすぎて疲れたときに読むと、少し肩の力が抜けます。
3位:パンダのおさじと フライパンダ
料理人のクーさんは、毎日料理を作り続けるうちに、料理を楽しいと思えなくなっていました。
そんなクーさんが手に入れたのが、不思議なフライパン「フライパンダ」です。中にいた小さなパンダのおさじと呪文を唱えると、普通の料理が楽しいパンダ料理へ変わります。
仕事や家事として続けているうちに、好きだったことが苦しくなる経験は大人にもあります。遊び心を取り戻すクーさんの姿から、「もう一度楽しんでもいい」と思わせてもらえます。
4位:おすしが ふくを かいにきた
マグロのおすしが、服を買うために店へやってきます。エビやタマゴなど、さまざまなすしネタを試着しながら、自分に似合う服を探します。
アイスクリームは帽子屋、ソーセージは車屋へ向かうなど、食べ物や日用品を別のものに見立てた写真が続きます。
物語を一度読んだ後も、背景に置かれた小物やミニチュアの住人を探したくなります。子どもは変身の面白さを楽しみ、大人は写真作品として細部まで眺められる絵本です。
5位:星をつるよる
眠れずにひとりで不安を抱えていた女の子が、窓の外の月へ「あそぼうよ」と声をかけます。
すると、星形の釣り針が付いた糸が空から降りてきました。星を釣り上げていくうちに、同じように眠れない子どもたちが集まってきます。
眠れない夜の孤独を消すのは、大人の正しい助言ではなく、同じ時間を過ごす友だちです。青い夜空と星の光も美しく、寝る前にゆっくり眺めたくなります。
6位:ねことことり
ねこは毎日、小枝を束ねて売り、そのお金で食べ物を買っています。ある日、ことりから小枝を少し分けてほしいと頼まれます。
ねこには役に立たないように見えた小枝も、ことりには大切な使い道がありました。暮らし方も価値観も違う二人が、少しずつ互いを理解していきます。
相手を自分と同じに変えるのではなく、違いを残したまま歩み寄る姿が温かい作品です。細密に描かれた自然や室内の絵も美しく、大人がゆっくり眺める絵本としても向いています。
7位:ぼくはいったい どこにいるんだ
家から店までの道を描く地図だけでなく、好きなもの、苦手なもの、頭の中にある考えまで地図にしてみる作品です。
悩んでいるときは、自分がどこにいて、何を大切にしているのかが見えなくなることがあります。頭の中を地図として外へ出すと、今の位置や進みたい方向が少し分かります。
子ども向けの発想絵本ですが、仕事や人間関係で行き詰まっている大人にも使える考え方です。答えを教えるのではなく、自分で整理する方法を渡してくれます。
8位:すしん
謎のすしたちが「すしーん」と絵本の中を駆け抜けます。生き物なのか、乗り物なのか、食べ物なのかは分かりません。
意味を考えようとすると余計に分からなくなりますが、すしたちは一切気にせず、独自の「すし語」を話しながら進みます。
理解や教訓よりも、意味のなさを楽しむ絵本です。子どもと大人が同じ目線で「何これ」と笑えるところに強さがあります。
9位:いちじくのはなし
『たまごのはなし』に続く絵童話です。今回の中心となるのは、話を大げさにするほら吹きのいちじく。
いちじくは「本当にあった冒険」として、自信満々に不思議な話を語り始めます。どこまでが本当で、どこからが作り話なのか分からないまま、聞き手も物語へ巻き込まれていきます。
かわいい食べ物の話に見えて、登場人物の言葉や会話には独特の毒と哲学があります。短い絵本より、少し長めの物語を味わいたい方に向いています。
10位:ニンジンジン
ニンジンのような謎の生き物・ニンジンジンを、二匹のウサギが食べようと追いかけます。
ウサギたちは次々に作戦を考えますが、ニンジンジンは軽やかに逃げ続けます。追う側と追われる側が逆転しそうで逆転しない、不思議な緊張感があります。
七五調の文章は声に出すと気持ちよく、同じ場面を繰り返し読みたくなります。結末まで一気に駆け抜ける、読み聞かせ向きの作品です。
MOE絵本屋さん大賞2023 新人賞
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | やぎさんのさんぽ |
| 2位 | ねことことり |
| 3位 | ぎょうざがいなくなりさがしています |
| 4位 | ベニーのみずたまぼうし |
| 5位 | ももからうまれたおにたろう |
1位:やぎさんのさんぽ
一匹の子やぎが散歩へ出かけ、切り株や石を元気に飛び越えていきます。ちょうちょやハリネズミに褒められるたび、子やぎは自信をつけていきます。
最大の特徴は、子やぎの毛並みや草花まで刺繍で表現されていることです。糸の温かさと立体感があり、眺めているだけでも穏やかな気持ちになります。
新人賞だけでなく、ファーストブック賞でも1位となりました。
2位:ねことことり
総合ランキングでも6位に入っています。異なる環境で暮らすねことことりが、互いの価値観を知りながら関係を築いていく作品です。
3位:ぎょうざがいなくなりさがしています
「町から餃子がいなくなり、探しています」という放送を聞いたとしおくん。餃子が自分で逃げたのか、事件に巻き込まれたのか、想像がどんどん広がります。
大人なら聞き流す町内放送も、子どもにとっては大事件です。言葉を文字どおりに受け取り、真剣に餃子の行方を心配する姿がおかしくも愛おしく感じられます。
4位:ベニーのみずたまぼうし
きのこのベニーは、赤い水玉帽子を大切にしています。森の帽子祭りでは、仲間たちが新しい帽子を披露しますが、ベニーはいつもの帽子を脱ごうとしません。
新しいものを選ぶ楽しさがある一方で、昔から大切にしているものを使い続けるのも悪くありません。自分の好みを守るベニーと、周囲との関係を描いた物語です。
5位:ももからうまれたおにたろう
桃太郎が入っているはずの桃を、もし鬼が拾って育てたらどうなるのか。昔話の設定を反対側から描いた作品です。
鬼に育てられたおにたろうは、誰を味方と考え、誰と戦うのでしょうか。悪者として描かれがちな鬼の側にも生活や家族があると分かり、知っている物語の見え方が変わります。
MOE絵本屋さん大賞2023 ファーストブック賞
ファーストブック賞は、その年に刊行された0・1・2歳向け絵本から、全国の書店員が選ぶ部門賞です。
2023年は、新人賞1位にも選ばれた『やぎさんのさんぽ』がファーストブック賞でも1位となりました。
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | やぎさんのさんぽ |
| 2位 | はんぶんこ |
| 3位 | こちょこちょ あはは |
| 4位 | ぷっくりぽっこり |
| 5位 | ぱんですよ |
1位:やぎさんのさんぽ
刺繍で描かれた子やぎの散歩を楽しむ作品です。短い言葉と繰り返しのリズムで読みやすく、赤ちゃんから楽しめます。
2位:はんぶんこ
ドーナツ、焼き芋、おにぎり、肉まんなど、おいしそうな食べ物を二つに分けて一緒に食べます。
食べ物を半分にすると形がどう変わるのかを楽しみながら、「はんぶんこして誰かと食べるとうれしい」という感覚も伝わります。
3位:こちょこちょ あはは
犬、ペンギン、ワニなどをこちょこちょすると、それぞれ違う声や動きで笑い始めます。
最後には、読んでいる赤ちゃんをこちょこちょする流れになります。絵を見るだけでなく、親子が実際に触れ合いながら遊べる仕掛け絵本です。
4位:ぷっくりぽっこり
本の中央に開いた穴から、大人が指を出して読める仕掛け絵本です。ページの絵に合わせて指を動かすと、ぷっくり、ぽっこりと不思議な形が現れます。
赤ちゃんは絵を見るだけでなく、指に触れたり、つまんだりして楽しめます。読む人と赤ちゃんの触れ合いが、そのまま絵本の一部になります。
5位:ぱんですよ
丸いパン、四角いパン、長いパンなど、さまざまな形のパンを色鉛筆の絵で紹介します。
「ぱ」「ん」という赤ちゃんが発しやすい音を繰り返しながら、本物のようにおいしそうなパンを眺められます。丈夫なボードブックなので、幼い子どもが自分でページをめくる本としても向いています。
MOE 2024年2月号では11~30位や選評も読める

総合ランキングの11~30位、受賞作家へのインタビュー、絵本屋さんの推薦コメント、読者が選んだ2023年の絵本ベスト10などは『MOE 2024年2月号』に掲載されています。
古い号なので、新品が見つからない場合は中古在庫も含めて探すことになります。
MOE絵本屋さん大賞2023まとめ
2023年は、『パンどろぼうとほっかほっカー』『パンダのおさじと フライパンダ』の柴田ケイコ作品が1位と3位に入りました。
『おすしが ふくを かいにきた』『すしん』『ニンジンジン』など、見た瞬間に子どもが興味を持ちやすい、食べ物を題材にした作品も目立ちます。
一方で、『メメンとモリ』『ねことことり』『ぼくはいったい どこにいるんだ』は、人生や人間関係、自分の心を考えさせる作品です。子どもへの読み聞かせだけでなく、大人が自分のために読む絵本としても残ります。
親子で楽しく読むなら『パンどろぼうとほっかほっカー』、大人が一人で読むなら『メメンとモリ』、美しい絵をじっくり眺めたいなら『ねことことり』がおすすめです。
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