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薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた〜国家試験直前の話

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「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」第十九話。予備校が終了して、試験直前に僕が感じていたこと。

 

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2015年2月26日(予備校が終了) 

 毎日彼女を駅まで迎えに行く。何でもないことかもしれないが、とてつもない達成感があった。物事を続けられなかった僕が、駅までのお迎えだけはサボらなかった。

 国家試験本番の前々日に、半年間の予備校生活が終わったのだ。

 

 去年、彼女は国家試験に落ちた。その事実は変わらない。けれど、この一年をどのように過ごすかで、今後の人生にどう活かすかを自分で決めることが出来る……と、僕は彼女にそう言った。

 そして、その言葉は自分にも向いていた。頑張っている人のそばで、自分は関係ない、とは思えなかったから。

 だから、彼女が勉強をするのと同じように、僕も何かを続けることが大切だった。ただ続けるだけでなく、主体性を持つことで今後の自分に残る経験にすることが大切だった。

 

 ――子供の時から夢を持ったこともなければ、誰かに憧れを抱いたこともない。やりたいことなんて何もなかった。だから、環境を変えることで自分を知り、やりたくないことを見つけるために大学へ行った(結果、文系なのに留年する始末)。

 案の定、やってきたことの九割以上は続かなかった。それでも、続けられる何かを探す気持ちは常に持っておくべきだと学んだ。たとえそれが、彼女を駅まで迎えに行くことだけだったとしても。

 

「お迎えサボらんかったやろ」
「いいね、あんたポジティブで」

 

 距離感を間違えないように。けれど、気を遣いすぎないように。勉強の邪魔になったり、イライラさせたりしたこともあったはずだ。人との距離感なんて、僕にとっては永遠の課題だ。

 振り返って思う。「支える」という役割を与えてもらうことで、僕は彼女に救われていたのだ。

 

 正直、ここまで努力をしなくても受かることは出来るだろう。薬剤師国家試験の歴史や傾向を知った上で思う。

「このくらいでいいや」

「そこまでする必要ないやろ」

「過去最低の合格率を二年連続で更新するわけないやん」

 そういった声も間違いとは言えない。けれど、

「この半年で自分がどれだけやれるか」

「人生で一番頑張ると決めた」

 そういった気持ちが、日々の姿勢から痛いほど伝わってきたのも確かだった。

「本番に弱い」とか「いつも運がない」と自身にレッテルを貼ってしまうような人生を歩んできた彼女が、今回の結果次第で価値観を覆すことが出来る。そして、「報われることもある」と新たな価値観を持つことが出来る。そのために、バイトも就活も予備校も乗り越えてきた。すべては、合格するために。

  

努力とは

 私見だが、この国の人は「努力」という言葉を頻繁に口にする。

 言葉というものは、何を言うかではなく誰が言うかによって価値が異なる場合がある。中でも、「努力」の定義は、誰がいつどのような状況で発するのかで大きく意味が変わる。

 少なくとも、努力が実った・実らなかったの両方を経験していない人間が発するべきではないし、さらに言えば誰かに向ける言葉でもない気がする。

 もちろん、努力が実ればそれで良い。ただ、そうでなかった場合、これほど恐ろしいものはない。
 

 望んだ結果と真逆の現実を彼女が受け入れなければならない場合、今後の人生に「やっぱりあたしは頑張ってもダメなんだ」と刻まれてしまうだろう。最も根本的な価値観に、「自分は報われない」と刻まれてしまえば、それが普段の言動・行動にも表れることは間違いない。

 根が楽観的でポジティブな僕に対して、徐々に距離というか、理解し合えない溝のようなものが生まれてしまう気がする……。

「その時は努力が実らなかったと感じていてもその後の人生で~」みたいなことを言った教師もいたが、そんな言葉は的外れだ。特に、国家試験においては。

 だから、いつも呆れたように言われる

「あんたはいいよね」

 という言葉が、今までとは異なる意味を持つように感じてしまうと思うのだ。もしかしたら、僕の存在によって「自分は報われない」と感じてしまうかもしれない。

 結局、同じ経験をしなければ理解することなんて出来ない。同様に、今後の人生で僕が何をしようと、彼女の価値観を正すことは出来ない。努力には、他人が踏み込めない領域がある。言い訳がきかないし、逃げ道もない。リスクを負うし、何より孤独だ。待ち望んでいたはずの未来がすぐそこにあるのに、怖い。正しい過程を積み上げてきたのに、怖い。

 

 僕にはもう、かける言葉も出来ることもない。

 今回の試験、僕たちの関係を左右することにもなるだろう。明後日の国家試験で、人生が変わる。

 

 

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