
【2026年7月 追記・更新】
2025年のMOE絵本屋さん大賞は、内田有美さんの『おせち』が1位に選ばれました。黒豆、栗きんとん、数の子、田作りなど、おせち料理に込められた願いを、美しい絵とリズミカルな言葉で紹介する絵本です。
2位は、シリーズ3作目となる『大ピンチずかん3』。3位には、町の人から不思議なものを盗み集める『どろぼうジャンボリ』が入りました。
この記事では、第18回MOE絵本屋さん大賞2025の1~10位、新人賞、0・1・2歳向けのファーストブック賞をまとめて紹介します。
MOE絵本屋さん大賞2025の結果一覧
| 順位 | 作品名 | 内容 |
|---|---|---|
| 1位 | おせち | おせち料理に込められた願い |
| 2位 | 大ピンチずかん3 | うっかりから起きる大ピンチ |
| 3位 | どろぼうジャンボリ | 盗み集めた宝物が起こす奇跡 |
| 4位 | まてないの | せっかちな女性の一生 |
| 5位 | たれてる | 垂れ続けるチョコレート |
| 6位 | おばけずし | おばけが通う不思議な寿司屋 |
| 7位 | モモ(絵本版) | 人の話を聞く少女の物語 |
| 8位 | ぼくのいえ | 変わった家を想像する冒険 |
| 9位 | すいかのたね | 種を探す絵探し絵本 |
| 10位 | パンどろぼうとスイーツおうじ | 食わず嫌いの王子との対決 |
大人が読むなら、この3冊
- 忙しさに追われている方:『モモ(絵本版)』
- 自分の性格を肯定したい方:『まてないの』
- 失ったものを取り戻す物語:『どろぼうジャンボリ』
MOE絵本屋さん大賞2025を1位から紹介
1位:おせち
黒豆、栗きんとん、数の子、田作り、えびなど、おせち料理を一品ずつ美しい絵で紹介する絵本です。
黒豆には「まめまめしく暮らせますように」、栗きんとんには豊かに暮らせますようにという願いが込められています。
料理の意味だけでなく、一の重、二の重、三の重へ料理を詰めていく順番も描かれています。
家庭でおせちを作らなくなっても、なぜ正月に食べるのかを絵本から知ることができます。日本の伝統を堅苦しく説明せず、料理のおいしさと美しさから伝えているところが魅力です。
2位:大ピンチずかん3
ケチャップが服へ飛んだ、変な形に日焼けした、必要なものを忘れた。子どもの身近にある大ピンチを集めたシリーズ第3作です。
今回は、大ピンチの原因がどれくらい自分の「うっかり」によるものなのかを示す「うっかりメーター」が登場します。
自分の失敗だと分かると落ち込みそうですが、原因が分かれば、次に同じピンチを避ける方法も考えられます。
失敗を笑って終わるだけでなく、次に備えるところまで進んだ一冊です。
3位:どろぼうジャンボリ
ゴミ箱を頭からかぶった風変わりなどろぼう・ジャンボリは、夜になると町の家へ忍び込み、あるものを盗み集めています。
ジャンボリにとっては大切な宝物ですが、町の人たちは盗まれたことにも気づいていません。
ところが、新しくやってきた町長が、町の人たちから本当に大切なものを奪い始めます。ジャンボリが集め続けてきたものは、町を救う小さな奇跡へと変わります。
どろぼうが主人公なのに、物語の中心にあるのは、人の暮らしや心を守ることです。少し長めの絵童話を読みたい方にも向いています。
4位:まてないの
主人公は、お母さんのお腹にいる頃から何でも待てない女の子です。
早く生まれたい、食べながら話したい、遊びながら別のこともしたい。大人になり、仕事や子育てをするようになっても、せっかちな性格は変わりません。
年齢を重ねれば落ち着いた立派な人になるとは限らず、おばあちゃんになっても自分は自分です。
欠点を直す話ではなく、同じ性格と付き合いながら生きてきた一人の人生を肯定してくれます。子どもより大人の方が泣ける作品かもしれません。
5位:たれてる
ドーナツへチョコレートをかけていると、少し量が多すぎたのか、チョコレートが下へ垂れ始めます。
アイスで受け止めれば大丈夫と思ったら、そのアイスからもまた垂れてしまいます。
次のページでは何が受け止めるのか。今度こそ止まるのか。単純な出来事が、ページをめくるたびに大きな騒動へ変わっていきます。
本物のように描かれたドーナツやアイスがおいしそうで、食べ物の絵として眺めても楽しめます。
6位:おばけずし
客が来なくて困っている寿司屋の店主が、「おばけでもいいから来てくれないかな」とつぶやきます。
すると、本当におばけが店へやってきました。店主がお寿司を握ると、おばけは大喜びします。
お礼として、おばけは普通の海にはいない不思議な魚を釣ってきます。しかし、その魚を寿司にして食べても大丈夫なのでしょうか。
柴田ケイコさんの強烈な表情と、不気味なのにおいしそうな寿司が組み合わさったユーモア絵本です。
7位:モモ(絵本版)
町外れの古い野外劇場で暮らす少女・モモには、人の話をじっくり聞く力があります。
モモに話を聞いてもらうと、悩んでいた人は自分の本当の気持ちに気づき、仲違いしていた人たちも解決方法を見つけます。
特別な助言をするのではなく、相手が話し終わるまで、ただ耳を傾ける。それだけで人は自分の答えを見つけられることがあります。
時間に追われ、人の話を最後まで聞く余裕を失いやすい大人にも刺さる一冊です。原作を読む前の入口としても向いています。
8位:ぼくのいえ
町を見渡すと、同じような家ばかりが並んでいます。主人公は、もっと変わった家があってもよいのではないかと考え始めます。
水をかけると崩れる砂の家、引っ越すときに転がせる丸い家、風呂や食事をすべて用意してくれる全自動の家。
想像はどんどん広がり、やがて全自動の家の鍵を取り戻す冒険へ発展します。
細かな絵探しも用意されており、一度物語を読んだ後も、家の中や町の様子を見返して遊べます。
9位:すいかのたね
割れたすいかから、一粒の黒い種が外へ飛び出します。
種は、アリの列やオタマジャクシ、トランプの模様など、自分によく似たものの中へ隠れていきます。
読者はページの中から、すいかの種がどこにいるのかを探します。場所が分かった後も、美しく描き込まれた絵を見たくなり、何度も開きたくなる作品です。
総合9位に加え、新人賞でも1位に選ばれました。
10位:パンどろぼうとスイーツおうじ
スイーツ王国の王子は、甘いお菓子ばかりを食べ、ほかの食べ物には手をつけません。
心配した王様は、王子の食わず嫌いを何とかしてほしいと、パンどろぼうを城へ招きます。
自分の食生活へ口を出されたくない王子は、あの手この手でパンどろぼうの邪魔をします。
迷路や絵探しも加わり、これまでのシリーズより遊びの要素が増えています。好き嫌いを扱いながら、説教だけで終わらない一冊です。
MOE絵本屋さん大賞2025 新人賞
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | すいかのたね |
| 2位 | ライオンのくにのネズミ |
| 3位 | おんぶねこ |
| 4位 | どんぐりず |
| 5位 | くだもの らららん |
1位:すいかのたね
総合ランキングでも9位に入っています。さまざまな物へ紛れ込んだすいかの種を探す、押本達希さんのデビュー作です。
2位:ライオンのくにのネズミ
父親の転勤により、ネズミの家族がライオンの国へ引っ越します。
使う言葉も、暮らしの習慣も、体の大きさも違います。子ネズミはライオンを怖がりますが、ある出来事をきっかけに、一匹のライオンと向き合うことになります。
違う文化で暮らす相手を、見た目や噂だけで決めつけず、実際に知ろうとする物語です。
3位:おんぶねこ
父親猫は、おんぶしていないと泣いてしまう子猫と二匹で暮らしています。
掃除するときも、食事を作るときも、風呂へ入るときも、寝るときも、父親は子猫を背負ったままです。
大変な毎日が永遠に続くように感じますが、子どもは気づかないうちに成長し、少しずつ親の背中から離れていきます。
ゆるい関西弁で笑いながら読めますが、育児を経験した大人には最後の寂しさまで残ります。
4位:どんぐりず
木の上にいたどんぐりたちが、地面へ着地するまでの道のりを描いた絵本です。
転がる、ぶつかる、泳ぐ、飛び跳ねる。落下しているだけなのに、どんぐりたちにとっては運動会のような大冒険になります。
動きを表す言葉が多く、声に出して読むと、子どもも体を動かしながら参加できます。
5位:くだもの らららん
りんご、みかん、バナナ、メロン、すいかが、木や畑で実り、収穫され、食べられるまでを描きます。
植物画家の金内織恵さんによる果物は、模様や皮の質感まで細かく、本物へ手を伸ばしたくなるような存在感があります。
果物の名前を覚えるだけでなく、どのように実り、皮をむくと中がどうなっているのかまで楽しめる赤ちゃん絵本です。
MOE絵本屋さん大賞2025 ファーストブック賞
ファーストブック賞は、その年に刊行された0・1・2歳向けの絵本を対象とする部門賞です。
| 順位 | 作品名 |
|---|---|
| 1位 | おにぎり ぱく! |
| 2位 | かめかめたいそう |
| 3位 | よるのミニカーたんけんたい |
| 4位 | まんいんでーす! |
| 5位 | ぴかぴか ころりん・ぱ! |
1位:おにぎり ぱく!
おいしそうな三角おにぎりを「ぱく!」とかじり、ページをめくると、中から鮭やツナマヨ、昆布、たらこなどの具が現れます。
次のおにぎりには何が入っているのかを予想しながら、繰り返し楽しめる絵本です。
最後には、普通のおにぎりからは想像できない巨大な具が待っています。読み終わった後に親子でおにぎりを作るのも楽しそうです。
2位:かめかめたいそう
カメたちが、ゆっくり手足を伸ばし、歩き、ひっくり返りながら体操します。
文章に合わせて実際に体を動かせるため、座って聞くだけでなく、親子で参加できます。
動きはゆっくりなので、まだ複雑な体操が難しい幼い子どもにもまねしやすい作品です。
3位:よるのミニカーたんけんたい
家の人たちが眠った後、ミニカー探検隊がライトをつけ、夜の家へ出発します。
昼間とは違って暗い廊下や部屋を、小さな車たちがひっそりと走り抜けます。
車の音を声に出しながら読めるため、ミニカーが好きな子どもに向いています。『ミニカーたんけんたい』の第2作です。
4位:まんいんでーす!
えんどう豆のさやを開くと、中には豆たちがぎっしり入り、「まんいんでーす!」。
みかん、栗、にんにく、とうもろこしなども、皮を開くと中からたくさんの実が現れます。
「ぱかっ」「まんいんでーす!」という繰り返しが分かりやすく、食べ物の中がどうなっているのかも知ることができます。
5位:ぴかぴか ころりん・ぱ!
本に付いた輪を指で動かし、角のある道や丸い道など、さまざまなコースを進めて遊ぶ仕掛け絵本です。
輪やページには、赤ちゃんが注目しやすい、きらきらと光るホログラムが使われています。
見る、触る、動かす、音を聞くという複数の遊びを一冊で楽しめます。
MOE 2026年2月号では11~30位や選評も読める
総合ランキングの11~30位、受賞作家へのインタビュー、書店員の推薦コメント、読者が選んだ2025年の絵本などは『MOE 2026年2月号』に掲載されています。
新人賞とファーストブック賞についても、受賞作品へのコメントを含めて詳しく紹介されています。
MOE絵本屋さん大賞2025まとめ
2025年は、『おせち』『たれてる』『おばけずし』『すいかのたね』『パンどろぼうとスイーツおうじ』など、食べ物を題材にした作品が多くランクインしました。
一方で、『どろぼうジャンボリ』『まてないの』『モモ(絵本版)』は、大切なもの、人生、時間、人の話を聞くことなど、大人にも強く残る題材を扱っています。
親子で笑って読みたいなら『大ピンチずかん3』、日本の文化を知りたいなら『おせち』、大人が自分のために読むなら『まてないの』や『モモ(絵本版)』がおすすめです。
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