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薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた~新店舗と先輩との出会い

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「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」第七話。薬局を移動して仕事内容が変わった話と、予備校や就活が頭にちらつき始める彼女の話。

 

 

薬局を移動して

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 店舗を移動して数週間。人の数は増えていないのに忙しさが三倍くらい違うのは、門前に総合病院があるからである。

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 クリニックと総合病院では何から何まで異なる。クリニックでは小児科と内科だけだった。しかし、総合病院はそれらに加え、外科系、産婦人科、耳鼻いんこう科、物忘れ評価外来、眼科、リハビリテーション科もある。また、内科系と外科系も細かく分類され、入院病棟もある。勤務する医者の数も訪れる人の数も桁違いだ。よって、扱う薬の量も桁違いになる。

 一人ひとりに向き合う丁寧な接客よりも、次から次に訪れる患者さんをいかに素早く捌いていくかに重きを置く環境……となれば、おにぎりおじさんも寄り付かないだろうし、許容もされないだろう。

 

「地下鉄乗った」

「へへ~い」

 仕事終わりの彼女を駅まで迎えに行くと、疲労の色が濃い。それを察して、バッグを持つようになった。

「へえ~珍しく気が利くね」

「……まあ、ね」

「あんたいちいちチャラいんよ!」

 どうしてもさり気なくが出来ず、優しいやろ? 褒めて? という雰囲気を出してしまうらしい。。。それはともかく、彼女が疲れる原因は残業である。

 

残業1

 新しく買い直した一包化の機械が導入された。彼女が来る前から購入は決まっていたらしい。機械メーカーの説明は、患者さんがいない時間帯に行われる。

 が、いざ導入してみると…… パソコンが絡んでくる機械の操作方法ゆえ、一回り年齢が上の方々はなかなか操作を覚えられないとのことだった。そして、彼女がその操作を中心に請け負うことになった。

 彼女は特別機械に強いわけではない。ただ、順序良く説明通りに行うことは得意に見える。説明書を読んでその通りにこなせる人であり、説明書から答えを見つけられる人なのだ。僕の場合、説明書を見ずにノリで覚えようとする。恥ずかしい話だが、説明書から該当の悩みを見つけられず、サポートセンターに問い合わせたことが何度かある。

「もう無理……」

「ここ書いとるやん」

 というやり取りは数知れず。機械が苦手でないことも、薬剤師にとって大切な要素かもしれない。

 

残業2

 MRが薬局にきて、新薬の説明会を行った。門前の総合病院が新しい薬を使うことを決めたので、その処方箋が出された時のために薬局でも説明するのだ。MRは病院に薬を売りに行くが、その病院が買った薬を調剤するのは薬剤師である。なので、MRは薬局に薬の説明をしにくるわけだ。もちろん、説明は患者さんが居なくなった後に行われる。

 ――彼女が大学五年生の頃の話。教授と准教授のツテで、MRを研究室に呼んで新薬の説明を聞いていたとか。これは新しい薬の情報を教授自身が知るためでもあり、薬学生にとっては勉強になるからだと言う。もちろん研究室や大学によって異なるだろうが、大学で実務を学べる点は素晴らしい。

 国試に落ちて以降、彼女は不定期で大学に通っている。准教授から勉強の資料や、国試対策の問題集と新薬の情報をコピーしたものを貰うのだ。

「今どんな感じ? 勉強どう?」

 たとえ他愛ない会話であっても、国試に落ちた後も面倒を見てくれる先生方の存在は有り難い。今までにもいろいろな相談をしたとのこと。が、彼女はまた同じ悩みを抱えることになった。

 就職のことだ。

 愛知でするのか、それとも福岡でするのか。薬局にすべきなのか、ドラッグストアにすべきなのか、再び病院を目指すのか……。決断し、行動すべきときが迫っている。

 

6月になって

 彼女はバイトを週5から週4に変えてもらい、月~木勤務になった。あまりにも忙しいので、勉強する時間が取れなかったことが原因だ。9月からは予備校も始まる。暗記だけではなく、もうちょっとしっかり勉強したいとのことだった。バイトに慣れてきても、予備校入学が近づいてくると国家試験に落ちた現実が大きなものになるとか。

 僕からすれば、彼女は仕事の飲み込みが早い。第三者視点でその場の空間にいる自分を客観的に見ている(気がする)ので、何をすべきかを把握する能力に長けているのだと思う。それを把握していながらあえて関与しない人も多いが、彼女は率先して取り組む。なので、他人のミスの尻拭いをすることも多い。しかし、最終的に信頼が集まっているのだ。えらい。

 それにしても融通が利くバイトだと思う。学業優先を理解してくれる職場がどのくらいあるだろう……と考えるものの、文系で四年間学ぶ内容が「学業」に値するのか、四年制大学を五年で卒業した僕にはわからないのであった。
 

出会い

 職場の薬剤師に、登山にハマって足に重りを巻き付けながら仕事をしている人がいる。

アルペンルートに行く話をしたら、ものすごく興奮しとった」

 大学卒業時の国家試験に落ちたものの、そのタイミングで子供を授かり結婚。子どもが手を離れた時に、もう一度勉強して国試に受かった話を聞かせてくれたという。つまり、主婦になってから受け直したわけだ。

「だから絶対大丈夫!」

 大丈夫、大丈夫と何度も励ましてくれる。とても可愛がってくれる。

 きっと、そういう人に出会えたことも、意味があったんじゃないか……と思う。ただ、この出会いに意味を持たせるためには、やはり結果が必要だ。失敗の価値を最大限に高めてくれるのは、やはり成功なのだ。一回成功すれば、すべての失敗は過程になる。

 結果が持つ意味は、結果を手にしなかった者の方がわかるかもしれない。

 

 就活に予備校入学。ただ勉強すれば良いだけの一年ではなく、合格後の人生設計も伴う一年なのだと、僕も認識を改めたのであった。

 

つづく

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