
『魔法少女ノ魔女裁判』のコミカライズ1巻を読んだので感想を綴りました。
ゲーム版はNintendo Switch2でクリア済み。漫画版はゲームの物語をなぞるだけではなく、ノベルゲームの固定された画面構成から離れ、背景、表情、コマ割りを使って場面を描き直しています。
ゲームをクリアした後でも、新しく見える場面が多い。かなり愛のあるコミカライズでした。以下、漫画1巻とゲーム序盤のネタバレ注意です。画像は1巻から引用しています。
『魔法少女ノ魔女裁判』漫画版とは
漫画版『魔法少女ノ魔女裁判』は、Acaciaが制作した同名ゲームを、時任せつな先生がコミカライズした作品です。
高校入学を控えていた桜羽エマは、突然、絶海の孤島にある牢屋敷へ閉じ込められます。そこに集められたのは、魔女である可能性を持つ13人の少女。
少女たちは共同生活を送りながら、殺人事件が起きるたびに、処刑する魔女を選ぶことになります。
漫画1巻はどこまで収録されている?
漫画1巻は、エマが牢屋敷で少女たちと出会い、最初の殺人事件が発生するところまで収録されています。
最後はノアが死亡し、エマたちが最初の魔女裁判へ向かう場面。魔女裁判そのものは2巻からです。
ゲームでいえば、およそ序盤の1~2時間ほど……なはず。共同生活とキャラクター紹介にページを使っており、急いで最初の裁判まで進める構成ではありません。
164ページで魔女裁判が始まらないと聞けば遅く感じるかもしれませんが、読後の印象はむしろ濃かったです。少女たちの表情や牢屋敷での生活を細かく描いているため、1巻だけでも十分な満足感がありました。2巻が楽しみ★
漫画1巻を読んだ感想
ノベルゲームの固定画面から解放されている
ゲーム版は、背景の前にキャラクターの立ち絵を表示して会話を進める、一般的なノベルゲームの形式です。
漫画版では、視点の位置もキャラクターの動かし方も自由になります。ゲームと同じ会話をしていても、コマの大きさ、人物同士の距離、背景にいる少女たちの反応によって、場面の意味が少し変わって見えました。
原作をそのまま絵に置き換えるのではなく、漫画として再構成している。ゲームを知っているからこそ、その違いが面白いです。
塀に登る場面で牢屋敷の広さがわかる

少女たちが牢屋敷の塀へ登ってみる場面は、漫画化の良さがわかりやすく出ています。こんなに塀は高かったんや……と驚いたのが僕だけじゃないはず。
ゲームでは背景と立ち絵を見ながら文章を読む場面でも、漫画では体を動かし、高さや奥行きのある場所として描かれます(次のページで落下してますw)。
閉じ込められた状況を説明するだけでなく、「本当に外へ出られないのか試してみる」という少女たちの行動として見える。牢屋敷が舞台装置ではなく、少女たちが生活している空間になっていました。
全員で食事する一枚が良い

食堂で少女たちが一緒に食事をしている場面も良かった。とても好き。
ゲームでは会話しているキャラへ意識が向きますが、漫画では一枚の中に複数の少女を配置できます。誰と誰が近くにいるのか、誰が会話へ入っていないのか、それぞれがどのように食事をしているのかが同時に見える。食堂を俯瞰で映すような絵はゲームにはありませんしね。
これから殺し合うことになる少女たちに見えないのがポイントかな、と。後の展開を知っている読者が見る場面としても印象に残ります。
ココが吐く。身体の反応まで描かれる

漫画版では、ココが実際に嘔吐する描写もありました。こんなコマを引用して申し訳ない……笑
ゲームの文章や立ち絵だけでは省略されやすい身体的な反応まで描かれるため、少女たちが置かれている環境の異常さが伝わりやすいと感じたんですよね。
「怖い」「気持ち悪い」と言葉で説明するだけでなく、その場で体が反応してしまう。かわいいキャラクターを並べるだけでは終わらない作品だと、早い段階で示しているのは◎。
ヒロは少しかわいくなり、ハンナは絵柄に合っている

ハンナは良いキャラしてる
時任せつな先生の絵柄に最も合っていると感じたのは、ハンナですね。
高慢なお嬢様らしい振る舞いと、どこか憎めない愛嬌が絵柄に合っています。とても良い。ゲームでも好きなキャラでしたが、漫画版のハンナは見ているだけでも楽しい。
一方、漫画版のヒロ・マーゴ・ナノカ等、表情が暗いキャラは、ゲームより少しかわいらしく見えます。

ナノカもかわいい
事件がない場面においては、キャラクター全体がかわいく描かれているため、ゲームとは少し違う印象で少女たちを好きになれると思います。
ノアは白黒になるとアーティスト感が弱い

漫画版で最も残念だったのはノアです。
ノアはストリートアーティストで、色を使って自分の世界を表現するキャラクター。ゲームでは髪、服、描いた絵の色彩も含めて、個性が爆発してました。
しかし、漫画は基本的に白黒です(一部カラーあり)。色彩が失われたことで、ノアがアーティストであることが、見た目からは伝わらなくなった印象です。
他のキャラは漫画のかわいらしい絵柄と合っていますが、ノアだけはカラーを失った影響が大きい。これはかなり残念でした。
魔法はゲームより立体的で面白い
一方で、上の画像の通り、ノアの魔法表現は漫画版の方が面白いかもしれません。
ゲームでは立ち絵、背景、一枚絵を切り替えて魔法を見せます。漫画ではコマをまたいで魔法を動かし、人物や空間との位置関係まで描けます。
何が現れ、どこから動き、周囲の少女たちがどう反応したのかがわかりやすい。ノア自身の色彩は弱くなりましたが、魔法はゲームより立体的になっています。
ノアについては、良し悪しどちらもあった、というのが僕の感想ですかね。
かわいさが増した分、原作の冷たさは少し薄い
時任せつな先生の絵は、原作キャラクターの特徴を残しながら、全体的にかわいく描かれています。
絵柄は合っています。ただ、ゲーム版が持っていた冷たさや、少女たちの間に流れる不穏な空気は、少し弱くなったとも感じました。まだ1巻のみですが。
ゲームにはカラーの背景、BGM、効果音、声優さんの演技があります。特に本作は、普段の会話と感情が崩れた場面の声の差が大きい。声を失った影響は、特定の一人ではなく全員にあります。
僕はゲームをクリアしているため、漫画を読みながら声を脳内で補正できました。漫画から初めて入る人は、13人の個性を覚えるまで少し時間がかかるかもしれません。
結果的に、ゲームの声優さんの演技は素晴らしい!! ってことです。
魔女図鑑の説明はかなりエグい

キャラクターのかわいさとは対照的に、魔女図鑑の説明はかなりエグい……でしょ?
少女たちの日常を丁寧に描きながら、魔女が人間とは異なる危険な存在であることも示している。かわいいキャラクター漫画だけでは終わらない、原作の悪趣味さが残っています。
漫画版は全体的に柔らかい絵柄ですが、こうした設定の部分では『魔法少女ノ魔女裁判』らしい残酷さを感じました。
首が落ちる描写はあるが、ゲーム版の方がグロい
1巻には、ヒロの首が切断される場面も描かれています。
漫画は切断された状態を一枚の絵として見せられるため、視覚的には直接的です。ただ、血の描写、悲鳴、効果音、声優さんの演技まで含めると、ゲーム版の方が生々しく感じました。
漫画とゲームで同じ出来事を描いていても、怖さの種類が違います。漫画は状態を見せ、ゲームはその瞬間を音と時間で体験させる。この違いも読み比べる面白さでした。
ゲーム未プレイでも漫画から読める?
ゲーム未プレイでも読めます。
1巻は少女たちとの出会いや牢屋敷での共同生活を丁寧に描いており、物語の進行も急いでいません。魔女裁判が始まる前に、13人の性格と関係を覚える時間があります。
ただし、登場人物は最初から多いです。ゲームでは服装や髪の色に加え、声優さんの声でキャラクターを区別できます。白黒で声もない漫画版は、最初だけ名前と顔を一致させにくい可能性があります。
物語を読むだけなら漫画版でも問題ありません。キャラクターの声、色、BGMまで含めて最初の事件を体験したい人にはゲーム版をすすめます。
ゲームクリア済みでも買う価値はある?
あります! むしろ読んでほしい。
ゲームと同じ物語ですが、背景、コマ割り、人物の配置、表情が増えたことで、場面の新しい解釈が生まれています。
塀へ登る、全員で食事をする、ココが吐く。どれも物語の根幹を変える追加ではありません。しかし、少女たちが牢屋敷でどのように生活していたのかを補う描写として効いています。
ゲームをクリアした人が、ストーリーだけを確認するために買う漫画ではありません。好きなキャラクターの新しい表情や、漫画として再構成された牢屋敷を楽しむ作品です。
792円を出す価値はありました。164ページでも薄さは感じません。魔女裁判が始まる前で1巻が終わるほど丁寧ですが、この密度なら今後も買います。2巻も追記するか新記事書くかしたいですね。
まとめ
『魔法少女ノ魔女裁判』漫画1巻は、ゲーム序盤を急いで消化せず、少女たちの共同生活と最初の事件を丁寧に描いたコミカライズでした。
漫画になったことで、牢屋敷の広さ、少女たちの位置関係、身体の動き、魔法の奥行きが見えるようになりました。特に食堂の一枚や塀へ登る場面は、ノベルゲームとは違う魅力があります。
ヒロやハンナは漫画の絵柄と合っています。一方、色彩が個性につながっていたノアは、白黒になった影響が大きい。声優さんの演技、BGM、ゲーム版の冷たさも完全には再現できません。
それでも、原作を大切にしながら、漫画でしかできない表現を加えています。
ゲームクリア済みでも買う価値はあります。『魔法少女ノ魔女裁判』のキャラクターが好きなら、読んで損はない! と言えます。
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