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薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた~親との衝突について

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「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」第十五話。親との喧嘩や衝突について。

 

 

この記事のつづき

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2014年12月上旬

「本当に受かるんかね? 今のままで大丈夫なんね?」

 模試の結果を見た彼女のお母さんから、電話越しに彼女が言われた言葉である。9月同様、11月の模試も悪くなかった。成績だけ見れば上位30パーセントには入っている。僕からすれば順調だが、親からするとそうでもないらしい。

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点数の取り方も悪くない

 

 彼女は精神の起伏が少ないので、喧嘩腰で怒っている姿を見るのは珍しかった。てっきり、関係は良好だと思っていたが……。

 話を聞くと、親御さんはそもそも成績の見方などは理解できておらず。つまり、成績の内容を見て「大丈夫か?」と言っているのではなく、成績が実家に送られてきたことに対して、漠然とした不安を感じているようだった。彼女は説明したようだが、その彼女に対して「都合のいいことだけ言っているのではないか?」という疑念を感じるとのこと。

 

怒りが湧いたが…… 

 親に対して申し訳ないという気持ちを、僕は何回も聞いていた。親の年齢や将来を常に心配しているし、「お金の援助をもう少ししようか?」 という申し出を何度も断っていたようだ。

 勉強だって、予備校から帰ってきたら机にかじりつく。控えめに言っても、すべてを捧げている。執念が目に見えると、側にいて思うのだ。「頑張って」なんて、死んでも言えない。

 一番不安を感じているのは本人以外の誰でもないのは明らかである。

 

 しかし、それは親も同じなのだ。今回は、積もっていたものが吹き出された形だろう。

 

 たしかに、模試の成績が良いからと言って、本番に受かるとは限らない。が、今現在の方向性としては間違ってはいない……などの過程は、一切関係ない。普段の様子もわからないし、ただ前年に落ちたという結果しか知らない。そして、合格するかどうか。関心のない者にとっては、それだけが大切なのだ。

 そのような意味では、模試の成績の見方を知らなくても問題ないかもしれない。仮に「正しい過程を歩んでいるんだよ」と説明したくても、それをする手段も時間もない。薬剤師の具体的な仕事内容も知らず、薬剤師国家試験で何の科目があるのかも知らない。薬剤師のドラマや映画がない理由などにもつながるかもしれないが、他国に比べて日本の薬剤師は社会的地位が低いとも言われている。そもそもの関心が薄いのに、それをどうして伝えられようか。

 

 結局、薬学部のことをわかるのは、薬学部・薬剤師だけかもしれない(と、この話を書いている僕でさえそう思う)。

 感情を抜きにすれば、彼女のお母さんが言うことは何も間違ってはいないのだ。

 

試験は結果が全て

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 個人的に思うのは、この親の想いを受け入れるしかない、ということ。親は事情を把握しているわけではない。仮に仲が良くても、一人の人間である限り、完全に理解し合える関係など幻に過ぎない。状況によって感情や接し方が変わるのは自然なことである。ましてや浪人中の場合、あれこれ言われない方が珍しい。誰かに相談しても根本的な解決にはなり得ないだろう。

 僕が予備校生の頃、親とは恐ろしいほどに何度も衝突を繰り返した。親が全てのストレスの源だったし、「大人になったら関係が良くなる」と何人もの人に言われたが、決してそんなことはなかった。家族という集団は他者の介入が極めて難しく、言ってしまえば小さな宗教なのだ。


 試験は結果が全て。それ以上でもそれ以下でもない。ただ純然たる事実として存在する論理である。

 人生には、必ず勝負の時があるし、プレッシャーに打ち克たねばならない時もある。リスクを伴わない成功を、成功体験とは呼ぶことは出来ない。失敗があるからこそ、成功という概念があるからだ。

 何がどうなろうと、国家試験に合格する以外、薬剤師になる方法はないのだ。

 

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