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薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた~薬学生が学んでいること

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「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」第十二話。薬学生・薬学予備校生が学んでいる内容を、医療従事者を除く一般の人に知ってもらうために。

 

 

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活躍の場は広がっている

 薬剤師は薬を出すだけ……僕自身がそう考えていたので、まずはここからスタートしたい。この考えを持ってしまう原因のそもそもは、薬局の窓口以外で薬剤師と接したことがないからだと考えられる。

 しかし、薬剤師の活動の場は広がっている。

 例えば、災害時医療。今年は多くの地域が地震や大雨で被害を受けた。そこで注目されたのが、DMAT。「Disaster Medical Assistance Team」の略で、厚生労働省の認めた専門的な研修・訓練を受けた災害派遣医療チームである。被災地での医療活動を目の当たりにした人、実際に助けられた人もいるだろう。

 薬を渡す相手が「人」である限り、社会の変化によって要求される内容や制度も変化するもの。彼女がバイトで勤めた薬局のように、介護施設や患者の自宅に訪問することは増えている。

 

医薬品について

 前回ちらっと書いたが、医薬品を一商品としてではなく、人の命を生かしも殺しもすることを常に意識する必要がある。そのためにも、開発のコンセプトから承認されるまで臨床試験、承認後の制度、製造と品質管理など、医薬品そのものに加えて社会に及ぼす影響についても学んでいく。

 

 また、薬剤師は、どの疾患にはどの薬がどんな風に効くのかを網羅することになる。と言うのも、人はどのようにして健康を害し、どんな病を患い、どんな医薬品を使うべきか。その医薬品が体内でどのように吸収されて体外へ出ていくのか。その一つ一つを学ぶためだ。

 

疾患と対応する薬

 例えば消化器疾患の場合↓↓

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  ノートの左半分が、胃潰瘍になる原因。ノートの右半分が、胃潰瘍に対する薬の一覧と、どのように体内で効いていくのかをまとめてある。

 疾患には、体の変化や兆候がある。頭が痛い、お腹が痛い、皮膚が変色したなどが代表的だろうか。医師が処方した医薬品が患者の症状を改善する薬なのか、用法用量、他剤との飲み合わせなどをチェックするのは薬剤師の大切な仕事である。なので、使用上の注意や体内でどのように効いていくのかを深く学ぶ。

 

薬剤師を取り巻く法律

 薬剤師と法律は切っても切れない。その最大の理由は、やはり医薬品を専門に扱う唯一の職業だからである。

    わかりやすいところで言えば、覚せい剤取締法大麻取締法及びあへん法など。薬物依存や悪用されるイメージが強いかもしれないが、本来は痛み止めなどに使用される。教科書でも取り扱いが大きかった二つの法律を紹介したい。

 

薬事法

第1条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

 簡単に言えば、医薬品・医療機器等の物に関わる法律。iPS細胞のように新しい項目も年々増え続けるので、薬剤師になった後も学び続けなければならない。

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薬事法について

 

薬剤師法

第1条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。

 薬剤師の三大業務である「調剤」「医薬品の供給」「その他薬事衛生」について学ぶ。この法律の中の言及に、公衆衛生の向上及び増進に寄与し~と明記されている。なので、衛生についても深く学ぶ。

  • 栄養と健康……3大栄養素それぞれの役割、食品が腐るまでの過程についてなどを物質から学ぶ。食品の保存料、食中毒の症状、原因の食べ物なども。
  • 生活環境と健康……地球環境や生態系、水、大気、室内環境などを細かく学ぶ。
  • 化学物質の人体への影響……有害物質を吸収し、体外へ出るまで過程など。汚染防止、汚染除去などに関する基礎的な知識なども。

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腐敗について

 

 個人的に最も驚いたのが、製造物責任法(PL法)だった。

第1条……この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定と向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 言われてみれば、医薬品も製造物の一つである。そして、医薬品による副作用が生じ、社会問題に発展する例は「薬害」と呼ばれる。ペニシリンショック死事件(日本で医薬品の副作用が初めて問題になった事件)、サリドマイド薬害、薬害エイズ事件などが有名だろうか。

 どの職業にも、歴史や背景がある。それを学ぶ手段として、法律や歴史は欠かせない。

 

これら全てを学ぶ基礎となる物理・生物・化学

  • 物理……化学物質の基本的性質、原子・分子の構造など
  • 生物……人体の仕組み、体内を構成する物質の役割など
  • 化学……化合物の基本構造、代表的な反応など

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医療従事者として

 医療従事者として、正しい倫理観を身につけることも必要である。

 生まれてから死ぬまでの間に起こり得る様々な出来事から、生命の尊さを学ぶ。例えば、人工授精・体外受精などの生殖技術、出生前診断安楽死尊厳死など。

 もちろん、日本における社会保障制度、介護保険制度、医療保険制度の仕組みと現状、国民医療費の動向なども。この分野は薬剤師に限らず、一般教養の延長と言い換えても良いだろう。

 人の命と常に向き合う以上、正しい倫理観は必要不可欠である。

 

補足

 この記事に書いてある内容は、医療従事者でも何でもない僕が、あくまで薬剤師を知らない一般の人向けに簡易的にまとめた内容である。なので、一般生活において身近な内容に焦点を当てているつもりだ。

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参考にさせていただいた教科書。重さ10キロ。あまりにも膨大なので、すべてを説明するのは不可能(だと僕は感じた)。

★この記事に掲載した内容は2015年第100回の情報なので、現在とは異なる点もあると思われる。

実際はもっと専門的だが、「こんなことを学んでいるんだ」と知ってもらえれば幸いである。

 

つづき

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